星野チルドレンとして、魂を受け継ぐ。楽天銀次内野手(29)が8日、4日に70歳で亡くなった星野仙一副会長の活動を引き継ぐ意向を示した。

 同副会長は過去にボーイズリーグを支援するなど、子どもたちへの野球普及にも尽力してきた。昨年末の「野球殿堂入りを祝う会」では「全国津々浦々、子どもたちが野球をできる環境をつくってあげたい」と熱き思いを明かし、夢の途中でこの世を去った。銀次は「子どもの野球離れを感じている。子どもたちが、楽しく元気に野球をできる場を作っていきたい」と、恩師と同じ青写真を抱くと語った。

 これまでも「子どもと野球」について強く関心を抱いてきた。11年3月11日の東日本大震災を経験し、その思いが強くなった。「あの日を一生忘れることはない。野球をやりたくてもできない子もいると知った。まずは東北から、そして全国。子どもたちが野球に打ち込めるための活動ができたらいい」と願っている。

 「星野チルドレン」と呼ばれた1人だ。厳しくも愛情に満ちた指導を受けた。チーム初の日本一となった13年。ある一言を投げかけられた。

 「打てないからって何でそんな暗い顔をしているんだ。一流の選手は、打てなくても明るくしていた。王さん、長嶋さんは暗くなかったぞ」

 金言として、今でも忘れることはない。銀次は「1つのきっかけになった。自分の野球人生を変えてくれた」と言う。「誰に対しても、愛情がある。人間に対して、深い愛情がある人」と尊敬の念も持つ。「本当にそういう人。特別」と心の底から慕うからこそ、恩師が残した熱き夢を、つなぐと決めた。【栗田尚樹】