中日松坂大輔投手(37)が侍ジャパンの「伝道師」になる。5日、中日の沖縄・北谷キャンプを侍ジャパン稲葉篤紀監督(45)が視察。同監督は五輪、WBCのマウンドを2度ずつ踏んだ松坂に、国際大会の経験を若手に伝えてほしいと希望した。中日には小笠原ら若手の好素材がひしめく。2年後の大舞台へ準備を進める侍ジャパンにも松坂効果が期待されている。

 百戦錬磨の松坂にしかできない“仕事”が舞い込んできた。侍ジャパン稲葉監督から「松坂投手は五輪に出て、WBCでMVPも取っている。若い選手にどんどんそういう経験を伝えてほしい。若い人も聞きに行ってほしいです」と次世代スター誕生の手助けを求められた。

 松坂は00年シドニー、04年アテネと2度の五輪を経験。さらにWBCは06年、09年の2大会連続でMVPに輝き、世界一に大きく貢献した。そんな選手は松坂以外にいない。稲葉監督とは第2回WBCで共闘した。当然、野球観もよく知る。

 レジェンド右腕は「昨年のWBCの前には武田や千賀に自分が分かることは伝えました」と、所属していたソフトバンク勢に助言を送ったと振り返った。侍ジャパンは2年後の東京五輪に向けた土台作りの時期。中日には今回代表候補入りした小笠原のほか、鈴木翔、柳、笠原、新人鈴木博ら若手に好素材が多い。稲葉監督が「竜の松坂」に期待する理由もそこにある。今キャンプではすでに他の選手と練習の取り組みや野球理論などを交わしており、加入効果は随所に出ている。

 もちろん今は自分のことが第一だ。大きな前進があった。キャンプ2度目のブルペンで初めて捕手を座らせた。43球を投げると、座らせて13球を追加。「今日はあまりよくなかった。無駄な力が入る場面が多かった。次回はもう少しミスを減らしたいですね」と反省したが、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、シュートも披露。打席に立った京田も球質の良さに驚いていた。

 「ほぼ自分の決めた通りのスケジュールをこなせたと思う」。多くの期待と注目を背負った5日間を軽やかに駆け抜けた。【柏原誠】