ヤクルトが“超攻撃型オプション”習得で、青木宣親外野手(36=前メッツ)加入を最大限に生かす。10日の春季キャンプ(浦添)の全体練習後の特守で、坂口智隆外野手(33)が外野手用グラブを手に中学以来の一塁に入った。外野でゴールデングラブ賞4度の名手が、宮本ヘッドコーチの打球を懸命に追った。「一塁は一番球に触れることが多いポジション。難しい。でも僕自身、立場は分かっているつもり。全てチャンスと思っています。どこをするにしても必死にやらないと。全てに気合入れてやります」と決意を示した。

 “坂口一塁”は、戦術的な幅を広げる。青木が中堅に入り、昨季まで外野の一翼を担った雄平か坂口の主力がベンチに回る公算が大きい。坂口が一塁も守れれば、試合の流れに応じた用兵のバリエーションが増える。また、一塁の畠山が左膝裏肉離れなどの故障明けだけに、2年連続で3割近い打率を残す坂口なら、畠山不在時の攻撃力低下も防ぐことが可能になる。

 提案者の宮本ヘッドコーチは「あくまで試合の中でのオプションの1つ。一塁のレギュラーにとの考えではない」と前置きした上で「思ったよりいいんじゃない。坂口は(身長181センチで)的が大きい。攻撃的オーダーにもなる。いろんなパターンをもっておかないと」と説明した。練習試合などでも一塁守備の機会を設ける予定。今年のヤクルトは猛練習だけじゃない。知略を巡らし、勝機をたぐり寄せる。【浜本卓也】