東京オリンピック(五輪)へフレッシュな「ユーティリティー侍」をテストする。侍ジャパンの稲葉篤紀監督(45)が20日、那覇市内で会見を行い、オーストラリア代表と対戦する「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」(3月3日・ナゴヤドーム、同4日・京セラドーム大阪)に出場する28選手を発表した。すでに発表済みの6選手に加え、西武外崎修汰内野手(25)、阪神大山悠輔内野手(23)、日本ハム松本剛外野手(24)ら複数ポジションを守れる若手をフル代表に初招集した。

 稲葉監督は、初のフル代表として招集した顔触れについて「現時点でのトップチームのメンバーとして選出した選手と、実力を見たい選手のバランスを考えて選出した」と言った。東京五輪に向けて日本代表の主力として期待する選手に加え、代表経験のない新たな若手の力を試す2試合だ。

 フル代表初選出のメンバーには、複数のポジションを守れる選手がそろった。今回の強化試合は28選手が出場できるが、東京五輪は24選手となる見通し。「オリンピックは人数が少ない中でやらないといけない。若い選手は複数のポジションを守れる選手が多い。2試合でいろいろ試したい」と狙いは明確だ。

 U24世代で臨んだ昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップからは、外崎、松本、西川らが“昇格”した。MVPを獲得した外崎は左翼と三塁で出場し、二塁も守れる。松本は中堅、左翼で出場し、シーズンで一塁を守った経験がある。初招集の阪神大山も三塁、二塁、一塁で試合経験を積んでおり、監督も「守備もうまいし、複数のポジションをこなせる」と持ち味の強打に加え、守備力も評価する。広島西川は三塁と二塁を守ることが可能だ。また、若手だけでなく、5年ぶりの代表復帰となる西武浅村も二塁と一塁を守ることができる。

 限られた人数で戦う東京五輪ではさらに重要度が増す「ユーティリティー侍」。約2年半後に向けたチームの土台づくりをテーマに掲げる2試合は、若手選手にとって存在感をアピールする絶好の舞台になる。【前田祐輔】