痛快G倒でオープン戦初勝利や! 阪神が、ようやく待望の白星です。11日の巨人戦(甲子園)は打撃不振に陥っていた中谷将大外野手(25)が左翼に適時二塁打2本を放つなど、打線が奮闘して今季初の伝統の一戦を制した。オープン戦開幕からの連敗(引き分け1試合を含む)も、6でストップ。金本知憲監督(49)も「お客さん多いし良かった」と笑顔。若虎が執念を見せ、開幕に向けて、アゲアゲでいきまっせ~。

 オープン戦白星なしの若虎の意地が光ったのは、1点を追う4回だ。陽川の右前適時打で同点に戻し1死一、三塁。不振で悩んでいた中谷が打席に入った。カウント2-2からの6球目だ。左腕中川の速球は内角へ。くるりと軸回転して強振。ライナーで左翼フェンスに直撃させた。目の覚めるような勝ち越し二塁打。16打席ぶりの安打に金本監督もうなずいた。

 「取り組んでいることができ始めている。今日、インサイドを打ってくれたから、そこを本人も自信にしてほしいし、今、やっていることが、間違いないんだなと理解してほしいし、また続けて欲しい」

 同点の6回は無死一、二塁で田原の直球をとらえ左中間真っ二つ。またも勝ち越し二塁打を放った。瀬戸際に追い詰められていた。試合前まで4戦連続無安打で打率も1割6分7厘まで降下。9日中日戦は打席内容の悪さに途中交代を命じられ、金本監督も「アウトになり方がずっと同じ。今の状態じゃ厳しいわ。見ていて、打てる気がせんわね」と手厳しく断じていた。

 中堅のレギュラー争いは混沌(こんとん)とする。昨季20本塁打の中谷、16年新人王の高山や昨季活躍した俊介もいるが、決め手に欠ける。この日、金本監督はテレビインタビューでも「みんなパッとしない」と話しているなかで、中谷が汚名返上の一撃だ。前日10日中日戦の第1打席で左飛に終わったが、強く振りきっていた。指揮官に「ああいう感じで続けたら」と後押しされていた。最近は当てにいく打撃が目立っていたが、本来の思い切りの良さを取り戻しつつある。

 中谷 みんな打っているなかで出遅れて焦りがあった。ホッとしたのはある。バットも遠回りしていた。もっとアピールして、出られるようにしたいですね。

 10日の中日戦は03年優勝監督で1月に逝去した星野仙一氏の追悼試合だったがドロー。オープン戦開幕戦から7戦で白星と無縁だったが6連敗で止めた。金本監督は笑う。「日曜日でお客さんがたくさん入っていた。勝ち試合を見たかっただろうし、そういう意味では良かった」。今季初の巨人戦で小気味いい先制パンチ。昨季は10勝13敗2分けの負け越し。07年を最後に10年連続で勝ち越せていない。30日開幕戦でも激突する宿敵に手ごわさを見せ本番に向けて戦列を整えていく。【酒井俊作】