開幕3戦3勝と無双だったエースが1度も見せたことのない姿だった。

 巨人菅野智之投手(28)が2年ぶり4度目の大役を務めた阪神との開幕戦で、自己ワーストの12安打を浴びるなど7回5失点で崩れた。「143分の1という捉え方じゃなかった。申し訳ない」と責任を負った。

 2回1死、天敵にかみつかれた。福留に外角高め直球を左翼ポール直撃で先制弾を運ばれた。過去2年は打率2割2分2厘に眠らせていたが、15年には6割と苦手としていた相手。さらに3連打を積み重ねられ、高山には打ち取った当たりも適時内野安打とされた。3回には内角要求の直球が逆球で真ん中に入り、大山に2ランを放り込まれた。

 追い込まれる前に早仕掛けをする相手に、この日の制球の甘さは格好の的となった。

 「早打ちは分かっていたが、阪神打線が意図のある攻撃をしてきた。右打者は逆を狙い、左打者は狙い球を絞られた」

 昨年は3回までに4失点は2度しかなかったが、開幕戦で不測の事態が起こった。

 7回にも不利なカウントから3連打され、メッセンジャーが相手では重い5点目を奪われた。福留には3安打され、猛虎打線を活性化させてしまった。「今日はやられた。特に福留さん。イチ選手として情けない」と反省が続いた。

 開幕戦に敗れるのは12年以来、6年ぶり。ただ高橋監督が就任後2年間は開幕連勝を飾ったが優勝できなかったのも事実だ。指揮官は「ボールはそんなに悪くなかったのでは。誰もが緊張はあると思う」と受け止めた。

 エースで落とした一戦を143分の1にすぎないことを証明する戦いが始まる。【広重竜太郎】