柳田どん、すごかっ! ソフトバンクが、柳田悠岐外野手(29)のサヨナラ2号2ランで逆転勝利を飾った。2年ぶりの鹿児島は球団初のチケット完売。2度追いつき、9回は一時勝ち越されたが最後にひっくり返した。まるで大河ドラマのような劇的な勝利で超満員1万9124人を酔わせ、チームは3連勝で2位浮上。今年も鹿児島から上昇気流に乗る。

 暮れかかった鹿児島の空に、強烈なラインドライブがかかったアーチをかけた。「完璧。打った瞬間入ると分かった」。柳田は打球がバックスクリーンに消える前に右手を高々と上げていた。

 1点を追う9回1死二塁。4番内川、5番デスパイネはすでにベンチに退いていた。それでも勝負を挑んできたロッテ内の2球目、146キロ内角直球をフルスイングで打ち砕いた。「すごく集中していた。打率も低いし、絶対勝負してくると、腹をくくって打席に入った」。

 最後まで残った県営鴨池の満員の鷹党は地鳴りのような大歓声。三塁を回りながらもう1度右手を上げた柳田は、本塁で笑顔で待つナインの中に飛び込んだ。「興奮しました。すぐ逃げましたけど」と手荒い祝福に苦笑い。「やっぱりサファテには黒星は似合わない」と、9回に1度は勝ち越された守護神と喜び合った。

 3度リード許しての逆転勝ち。鹿児島で8連勝とした工藤監督も「ここで勝つとチームも勢いに乗る。鹿児島のファンが絶対に負けないと後押ししてくれた。すばらしいゲームだった」と目を丸くした。これまで柳田は過去3試合で10打数1安打と鹿児島で打てていなかった。今年は鹿児島男の称号を「いただきました!」と喜んだ。

 12日の日本ハム戦で11試合、46打席目でようやく今季1号。この日2戦連発となった。それまでは、バットの材質を青タモからメープルに替えるなど試行錯誤も続けていた。前日、雨天中止となった熊本・藤崎台球場で、バックスクリーン左にある樹齢1000年とも言われるクスノキ群に拝んだ。「でかかった」。神聖なクスノキパワーも後押ししてくれた。

 通算4本目、3年ぶりのサヨナラ弾。柳田は「もっともっとしたいですね。鹿児島で」とニヤリ。3連勝で2位浮上。今年も鹿児島から首位へのきっかけをつかんだ。【石橋隆雄】

<工藤ソフトバンクと鹿児島>

 ◆15年 ○4-2日本ハム どん底だった打線が復活。37イニングぶりに得点し1週間ぶり白星

 ◆16年 ○13-1オリックス 内川4安打。試合中2度噴火した桜島のパワーからか、この試合から8連勝。

 ◆17年 雨天中止 4連敗で鹿児島に乗り込み、中止後に千葉へ。ここから4連勝した。