敗戦の中で阪神福留孝介外野手(41)が意地の1発を放った。1点を追う4回に平良から一時同点の3号ソロ。ロサリオに代わり4番を任される虎のキャプテンが、1カ月ぶりの本塁打で気を吐いた。この1発が4月末に41歳になっての初アーチ。ベテラン、健在だ。

 わき上がるスタンドとは対照的に、阪神福留の表情が変わることはなかった。1点を追う4回2死。1ストライクからの2球目の変化球をすくい上げた。はじけるような音を残して打球はバックスクリーン左に着弾。4月13日ヤクルト戦(甲子園)以来の3号ソロで一時同点に追いついた。今季4番に座って1本目。敗戦に試合後に口を開くことはなかったが、ロサリオの不振で主砲を任されている男が、一振りで応えた。

 1日のDeNA戦(甲子園)で今永の死球を右手に受けてから打率は3割を切るなど下降。「気分転換だよ」と語ったが、死球後2試合はバットを変えて試合に臨むなど変化をつけていた。一時は調子を落としていたが、4番に座るとさすがの福留だ。

 2点を追う8回無死二塁からはDeNAパットンの147キロの直球をとらえた。一塁ロペスのダイビングキャッチに阻まれて悔しがったが、完全にとらえた痛烈な打球。12日の広島戦(マツダスタジアム)から4番に座って4試合目。初戦こそ無安打に終わったが、これで3試合連続で安打をマークした。

 主将として、声掛けも忘れない。自身が本塁打を打った後、ロサリオの大飛球が左飛に終わると、ベンチで天を仰いだ。攻守交代の際にはロサリオのグラブを一塁まで持っていき、一声かけた。常々「チームが勝つために」と語る最年長が頼もしい。【池本泰尚】