「日本生命セ・パ交流戦」で首位ヤクルトに3ゲーム差の広島は、今日12日からオリックス、ソフトバンクと敵地6連戦に臨む。指名打者制が敷かれる6試合に、緒方孝市監督(49)はベテランの新井貴浩内野手(41)を“切り札”に指名。好調な打線と勝負強さが光るベテランがかみ合えば広島打線の威力は増す。

 逆転Vのキーマンはベテラン新井だ。出遅れた交流戦だが、楽天に3連勝し、6勝5敗と持ち直した。今日から最後の7連戦。球団初の交流戦の優勝に可能性を残す。今日から大阪、福岡と続く6連戦は指名打者制。逆転優勝へ向けて、緒方監督は「新井は右、左に関係ない。代打でも1番手の選手で、切り札」と期待を込めた。

 左ふくらはぎを痛めてシーズンに出遅れた影響もあり、ここまでスタメン出場は9試合、連続スタメン出場も2試合にとどまる。そんな限られた中でも14試合で13打点をマークするなど勝負強さは健在だ。

 前回指名打者制だった1日からのロッテ3連戦(ZОZОマリン)は、すべて指名打者に松山が入った。一塁には新井が2試合、安部が1試合に起用された。投手のタイプによっての起用法となるが、指名打者候補の1人エルドレッドが9日に2軍降格した。安部の状態も上がっていないだけに、新井の出番が増えそうだ。10日の練習時には緒方監督から直接「来週は頼んだぞ」と声をかけられる場面も。新井は「準備をしっかりする。それだけ」と臨戦態勢を整えている。

 広島打線は好調をキープする。交流戦のチーム打率はリーグトップのロッテに3糸差の2割8分5厘3毛2糸。左翼に打撃開眼の野間が定着し、三塁には復調気配の西川が入る。2選手とともに、チームトップ4割1分4厘の捕手会沢が下位打線を形成する。彼らと上位打線をつなぐ6番に新井が入った3日ロッテ戦は、スタメン9人がフル出場。代打不要の切れ目ない打線となる。

 「いつ言われてもいいようにしっかり準備する」。2試合連続以上のスタメンにも意欲。逆転Vに望みをつなげるためにも、41歳はグラウンドに立ち続ける。【前原淳】