3連勝のロッテが最大6あった借金を完済し、勝率を5割に戻した。先発有吉からの継投が危なげなく決まり、打線も効果的に加点しDeNAに完勝。厳しさを前面に出す井口資仁監督(43)のタクトに選手が応え、混戦のパ・リーグを演出している。

 井口ロッテが積極野球で4月30日以来の借金完済を遂げた。軸は「積極走塁」。荻野が応えた。1点リードの5回1死、1番打者は二盗に成功。直後、藤岡裕の二直でベースに戻れずゲッツー判定がくだった。

 指揮官の番だ。「流れを変えるためなら」と開幕から活用してきた「積極リクエスト」。リプレー検証を求め判定は覆った。自ら動きピンチをチャンスに変える。「僕らもセーフと思った。だから気持ちは切れなかった」とは5番清田だ。

 清田はこの後、2死満塁から外角フォークを左手1本ですくう技あり2点打。「腹をくくった。全部振ってやる」と、つり球以外は4球連続バットに当てる「積極スイング」で中押し点をもぎ取った。

 この日はへんとう炎で発熱した井上が登録抹消。チーム打点王の不在にも井口監督は「代わりはいっぱいいる。チャンスと思ってやってほしい」と言った。これまでも選手起用に対し「辛抱にも程がある」「足を引っ張っている」など時に辛辣(しんらつ)にも聞こえる言葉で鼓舞してきた。

 マイナス1を「減」としない。埋める競争心をあおる。主軸には「チャンスでの平常心」を求めてきた。決勝打の角中は10試合連続安打。12年以来の交流戦首位打者もちらつくが「取っても何ももらえないですし」と力みがない。

 5点差で連投の抑え、内を狙い通りに休ませた。「まず5割。ここからです」。井口イズムで4月18日以来、2カ月ぶりの貯金生活は目前だ。【鎌田良美】