西武松井稼頭央外野手(42)が今季限りで現役を引退することが25日、分かった。

日米通算25年目の今季、テクニカルコーチ兼任で15年ぶりに西武復帰。ただ、ここまで出場23試合にとどまり、15日には出場選手登録を抹消された。1軍に同行しながら練習を続けているが、チームが10年ぶりの優勝へ突き進む中でユニホームを脱ぐ決断をした。近く球団から発表される見込みだ。

希代の名選手が大きな決断をした。松井は今季、15年ぶりに古巣の西武に復帰。選手として1回り以上若い後輩たちと汗を流し、テクニカルコーチとしても指導してきた。若手が多いチーム事情があり、出場機会は限られたが、志願して2軍戦に出場するなど手を抜くことは一切なかった。

15日の登録抹消後も1軍に同行し、今回の仙台遠征にも参加した。ベンチ入り可能なコーチ数には限りがあるため、NPBの登録上は兼任を外れている。試合はベンチ裏で観戦するしかない。そういう状況にあっても、試合後のコーチミーティングまで出席。置かれた立場で最大限、チームに貢献する姿勢を崩さないまま引退を決めた。

93年ドラフト3位で、PL学園から西武入り。1年目から両打ちに挑戦し、努力で左打ちをマスターした。高い身体能力を開花させ、2年目から1軍定着。02年には打率3割3分2厘、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成した。

守備だけでなく、走攻守全てがトップレベルにあり、遊撃手の概念を変えた。03年オフに海外FA権を行使。内野手として初めて日本球界から米メジャーに移籍し、メッツ、ロッキーズ、アストロズで計7シーズン躍動した。09年には日米通算2000安打を達成した。

11年の日本球界復帰の際は、星野監督率いる楽天を選んだ。東北の新興球団に経験を伝授。キャプテンとして引っ張り、13年には球団初のリーグ優勝、さらに日本一へと導いた。15年からは外野手に転向。新境地を開き、NPB通算2000安打もクリアした。

プレーを続けるモチベーションを問われ「ユニホームを着られていること。現役である限り、1本でも多くヒットを打ちたい」と答えたことがある。目の前の1プレーに対し、常に全力だった。功績は計り知れない。10年ぶりの優勝を花道に、野球人生に1つの区切りをつける。

◆松井稼頭央(まつい・かずお)1975年(昭50)10月23日生まれ、大阪府東大阪市出身。PL学園では投手として甲子園に出場。93年ドラフト3位で西武入団。内野手に転向し、最多安打2度、盗塁王3度。02年に打率3割、30本塁打、30盗塁を達成。98年にパ・リーグMVP。03年オフ、メッツにFA移籍。06年途中でロッキーズへ移籍し、07年ワールドシリーズ出場。アストロズでは09年に日米通算2000安打達成。11年から楽天でプレー。今季は古巣西武に復帰した。日米通算2703安打(日本2088本、米国615本)。177センチ、85キロ。右投げ両打ち。