大分出身の巨人脇谷亮太内野手が、地元九州で現役生活を終えた。

5点を追う9回1死から代打で登場。両親がスタンドから声援を送る前で、カウント2-2から阪神伊藤和の直球をフルスイング。鋭い当たりも一塁手の正面で一ゴロに倒れた。「ヒットを打って拍手をもらいたかったけど」と苦笑いしたが「うるっときそうでした」とこみ上げる涙をこらえた。一塁コーチャーの片岡2軍内野守備走塁コーチとも抱き合い「巨人と西武で入れ替わりだったので、思い出のある選手。僕も好きな選手でした。巨人ではプレーヤーとしてちょっとの間しか一緒にできなかったけど、今年はコーチ、プレーヤーとしていろいろと話をした。後輩だけどしっかりしていると思う。相談に乗ったり乗ってくれたりした。信頼している人の1人」と思いを語った。

ベンチへ下がる際には阪神ファンからも温かい拍手が送られた。「甲子園の一件で阪神ファンやプロ野球ファンを僕の行動で傷つけて、悲しませてしまった。審判員の方にも迷惑をかけてしまった。それでも今日はタイガースファンの方々も応援していただいて、うれしかったです」。11年4月20日の阪神戦の7回、ブラゼルの二飛を巡って落球か捕球かの論議が起こった。それから7年が経ち「最後の心にひっかかるものがあったので、2軍の試合ですけど、ライトスタンドに一礼できてよかった」と胸に秘めた思いを口にした。

試合後はチームメートから背番号にちなんで12回胴上げされた。「1年間一緒にやってきた後輩に胴上げされるのはうれしいですよ。幸せな野球人生でした」。宮崎に駆けつけた多くのファンに見送られながら、球場を後にした。