打線を改造したソフトバンクが16安打10得点と爆発し、CSファイナルS第1戦を快勝した。工藤公康監督(55)は左腕の西武菊池対策として川島を1番、8番にはCS初スタメンの西田を起用。7回の代打策もズバリはまった。得意にしていた菊池を攻略し、西武のアドバンテージを含め1勝1敗のタイに。球団史上初の下克上日本一へ、勢いに乗せる1勝となった。

逆転された直後の4回、ソフトバンク打線が2死から菊池に襲いかかった。1点を追う2死満塁、1番川島が内角へ入ってきたスライダーを引っ張り、左前へ逆転2点適時打。殊勲の川島は「逆転されてすぐだったので、逆転できてよかった」とガッツポーズ。上林もスライダーを捉え、中堅手秋山の横を抜ける2点三塁打。グラシアルも同じくスライダーを捉え、三遊間を破る適時打を放った。

菊池が制球に苦しんでいたスライダーを集中攻撃した。この回、打者9人の猛攻で5点を奪うと、5回6失点でKO。工藤監督は「しっかり狙い球を絞って打ったということ」、藤本打撃コーチは「菊池のスライダーはカットボールのようなもの。直球のタイミングで待って甘く入ったら打てるよね」と打線をほめた。

菊池対策で、右打者を6人起用した。CS初先発の西田は4回にチャンスメーク。川島は菊池に初白星を献上した9月28日以来の先発起用で、工藤監督の「左投手に対してよく打っている。相手にとって嫌なのが1番(での起用)」との狙いが的中した。7回には内川、長谷川勇と代打陣を送り出し、追加点を奪った。

左殺しの川島は「西武のエースの菊池雄星をつぶして、勝ち上がるイメージはみんなで持っていた」という。シーズン中には足を故障し練習すらままならない時期もあったが、指揮官はベンチから外さなかった。「川島がベンチにいると声かけで選手たちを励ます。うちのチームには絶対必要」と精神的支柱としての役割に感謝した。

CS突入前、川島はロッカー室で「うちは2位なんだ」と言い続けた。リーグ優勝を逃した悔しさを忘れさせ、挑戦者としてナインの気持ちを1つにさせた。202発打線の陰のヒーローはお立ち台で「代打に長谷川勇、内川さんと厚みが出た。(日本シリーズへ)いきます」と言った。大きな白星発進だ。【石橋隆雄】