プロ野球ドラフト会議が25日、東京都内のホテルで開催される。各球団の1位指名選手は誰なのか、外れ1位は? 大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)、金足農・吉田輝星投手(3年)らはどうなる? アッと驚く隠し玉選手はいるのか?

過去何度もドラマが繰り広げられてきた運命の1日。今もなお印象に残る場面を振り返る。

 

◆78年 「空白の1日」で巨人江川誕生

ドラフト会議前日、巨人が前年のクラウンの指名を拒否して米留学していた江川と契約を結んだと発表した。実行委員会がこれを無効とすると、巨人側はドラフト会議をボイコット。会議では阪神が1位指名した。巨人は提訴したが、コミッショナー裁定がくだり、却下された。しかし、直後にコミッショナーから、阪神と契約したあと巨人とトレードで解決したいとの「強い要望」が出され翌年2月、小林との交換が決まった。

 

◆85年 桑田進学一転巨人へ、清原涙の西武入り

1985年(昭60)、巨人が早大進学を表明していたPL学園・桑田を1位指名。巨人を逆指名していた同僚清原は西武の1位となり、涙で抗議した。桑田はドラフト直後に早大受験のため上京したが、突如大学関係者と話し合い、受験断念を発表した。受験を隠れみのにした「出来レース」とまでいわれた。当初難色を示した清原も最終的には西武入りを決めた。

 

◆89年 野茂に史上最多8球団指名

新日鉄堺・野茂に近鉄、オリックス、日本ハム、ロッテ、大洋、阪神、ヤクルト、ダイエーと史上最高8球団が入札、女神は近鉄にほほ笑んだ。巨人1位は、慶大・大森。注目の上宮・元木は、ダイエーに外れ1位で指名されるが、拒否してハワイへ。西武は松下電器・潮崎を、広島はNTT中国・佐々岡、中日はNTT東京・与田をそれぞれ単独指名した。

 

◆92年 松井獲得に長嶋監督にっこりサムアップ

注目のスラッガー、星稜・松井は巨人、中日、ダイエー、阪神の4球団が1位指名、最後に引いた巨人長嶋監督が当たりクジをつかみ、交渉権を獲得した。長嶋監督は笑みをこぼすより先に、右コブシを固く握り締め親指を立てるガッツポーズ。「オープンしまして、思わずうれしくなって。幸運でした」。後の「国民栄誉賞師弟」誕生となった。

 

◆95年 近鉄佐々木監督「ヨッシャー」

近鉄佐々木監督の「ヨッシャー」の声がドラフト会場に響きわたった。高校生選手としては史上最多の7球団が重複指名したPL学園・福留を引き当てた直後だった。しかし福留から「意中の球団以外は社会人」と言われ拒否された。福留は日本生命を経て98年ドラフトで中日入団。その後メジャーリーグを経て、13年から阪神でプレー。

 

◆05年 高校生ドラフトで混乱相次ぎ勘違い

巨人、オリックスの競合となった大阪桐蔭・辻内の抽選で、オリックス中村GMがNPB印を当たりと間違えくじを掲げガッツポーズ。それを見た巨人堀内監督は「交渉権確定」のくじを持ちながらも苦笑い。結局、辻内の会見後に確定球団が訂正された。福岡第一・陽のくじは日本ハム・ヒルマン監督、ソフトバンク王監督が引き、ヒルマン監督が右手を掲げた。ところが王監督が「当たりはこちら」とばかりにくじを掲げて抗議し、確定球団が二転三転。意中のソフトバンクに当たったと思い込み感激の涙を流した陽は、日本ハムに決まると言葉を失った。

 

◆12年 日本ハムが大谷を強行指名

メジャー挑戦を表明していた花巻東・大谷を日本ハムが真っ向から1位指名。花巻東のチームカラーと同じパープルのネクタイを締めて挑んだ栗山監督は直後の会見で「正直に本当に申し訳ない。とりあえず話を聞いてもらえたら、うれしい」と神妙な表情で話した、大谷は入団の可能性について「ゼロ」と発言した。その後「二刀流」育成プランなどを示す球団側に対して次第に気持ちが傾き、ドラフトから2カ月後の12月25日に入団を表明した。

 

◆15年 ヤクルト真中監督が外れくじに渾身ガッツポーズ

ヤクルト真中監督が明大・高山の交渉権を巡り、阪神金本監督と抽選に臨んだ。真っ先に開封した真中監督は、交渉権を獲得したと勘違い。ガッツポーズをしてテレビインタビューで「慣れ親しんだ神宮球場で一緒に頑張ろう」と喜びのコメントを残したが、NPBからの指摘で勘違いが発覚。交渉権は阪神が獲得した。真中監督は「くじにドラフトのマークがあったのでOKだと思った。全く気付きませんでした。あのガッツポーズを返してください」。

 

◆17年 早実・清宮に7球団!木田GM補佐が黄金の左発動

高校通算111本塁打を誇るスラッガーの早実・清宮をロッテ、ヤクルト、日本ハム、巨人、楽天、阪神、ソフトバンクの7球団が1位指名。95年福留(PL学園)に並ぶ高校生史上最多、野手の7球団も福留と並ぶ史上最多となった。交渉権を獲得したのは日本ハム。木田優夫GM補佐(49)が3番目に左手で当たりくじを引き、右手を突き上げガッツポーズで笑顔を見せた。木田氏は事前に、親交のある明石家さんまに「右手と左手、どっちがいいですか」と聞いたところ「左手で行け。お前の右手は運を持ってないだろ」と冗談めかしてアドバイスを受けていた。