明大・渡辺佳明内野手(4年=横浜)が楽天から6位で指名された。

東京・府中の明大合宿所でチームメートとともにドラフト会議のテレビ中継を見つめ、名前が読み上げられると、ふーと大きく息をついた。

「何とか、何とかという気持ちで、信じて待っていました。率直にうれしい気持ちと、これからしっかりやっていかないといけないという自覚が生まれました」と口元を引き締めた。

祖父は横浜(神奈川)前監督の渡辺元智氏(73)。明大入学当初は、渡辺氏の“孫”と呼ばれるのがまず先で、自身の名前はなかなか出なかったという。祖父への感謝は常に胸に置きながらも「絶対自分の名前を先に呼ばれたい」という思いを持ち、4年間汗を流してきた。

同大の善波監督は渡辺を「常に前向きに、上を目指してプレーしていくのが最大の長所」と評した。その渡辺の姿勢は中学生の頃から変わらない。高校進学時、元智氏は横浜高への入学に反対した。それでも「横浜高校に入って、おじいちゃんと一緒にプレーしたかった。たとえベンチに入れなくても、3年間一緒にやりたかったので反対を押し切って入りました」。

大学でも結果を残し、つかんだプロへの切符。「おじいちゃんへは、『ありがとう』というひと言を伝えたい」と短い言葉に感謝の思いを込めた。そして「おじいちゃんもプロを目指していたけど、それが出来なかった。その思いを自分に託されたと思って、4年間プロを目指してやってきた。自分だけの夢ではなく、おじいちゃんの夢でもあるプロ野球選手になれてうれしい」と目を輝かせた。

元智氏の孫ではなく、「渡辺佳明」として指名をつかんだ。目標は開幕1軍。「プロはレベルの高い世界。毎日が修業だと思って、日々成長していきたい」とさらなる精進を誓った。