広島丸佳浩外野手(29)が7日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使することを明らかにした。マツダスタジアム内の球団事務所で申請書類を提出し「他球団の評価を聞いてみたい。宣言しての残留も認めてもらったので、こういう結論に至った」と話した。広島は宣言残留を認めている。

巨人原辰徳監督(60)は「球団がきちんと動くと思います」と明言。4年20億円以上の大型契約を用意し、獲得を目指す。(金額は推定)

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原監督が巨人の方向を示した。国内FA権の行使を表明した丸を脳内の補強リストから浮かび上がらせた。チーム編成を含めた全権を委ねられている指揮官は「球団の方が、きちんと動くと思いますよ。今、僕からはそのことしか言えない」。公示前ということもあり、慎重に言葉を選びながらも獲得へ動くことを示唆した。

5年ぶりのリーグ制覇を目指すチームにとって外野手の補強は急務だ。昨オフにゲレーロを獲得したが、17年本塁打王の実力は発揮できなかった。陽岱鋼も移籍から2年連続で故障に泣いた。長野は打率2割9分を残すも全盛期の安定感を欠く。ベテラン亀井は勝負強さを発揮し、外野陣で唯一、規定打席に達したが、終盤戦は息切れした。

球界屈指のバットマンとなった丸は補強ポイントに合致した最適なピースだ。今季は自己最多の39本塁打を放ち、出塁率4割6分8厘。阿部が常時スタメンを張らなくなった今、左の大砲は不在となっている。選球眼も併せ持った長距離ヒッターが加われば得点力の大幅アップを期待できる。

公示を待って交渉が解禁となる。宣言残留を認めている広島も含め、複数球団による争奪戦が必至。巨人は最低でも4年20億円以上の大型契約を提示するとみられる。過去のFA戦線で日本ハムから小笠原、ソフトバンクから杉内ら、大物を獲得してきた。同等のスケールに加え交渉術も“実績”に上積みされる。

ペナント奪回への戦いは始まっている。岡本、吉川尚ら成長著しい若手の一本立ちと補強を融合させれば、より強固なチーム力が生まれる。若手を鍛え上げる秋季キャンプと並行して、来季に向けた水面下での調査が、丸の宣言を受け激しく動きだそうとしている。