「二刀流」の切れ味が増している。8日に行われた「パワプロ・プロリーグ」のセ・リーグ最終節。巨人たいじ(27)が第3戦で試合前まで防御率1・88だった広島ゴジラから8得点を奪い、勝ち越しの勝利を挙げた。

その後行われたDeNA-中日戦の結果、3位が確定して16日のリーグ代表決定戦へと駒を進めることとなった。

たいじは世界的人気ゲーム「スプラトゥーン2」で2018世界王者を獲得。経験の浅いパワプロでも頂点を狙える位置につけた。代表決定戦はプロ野球のCSとほぼ同じシステム。ファーストSで2位と3位が戦い、勝利したチームがファイナルSへと進出。ファイナルSでは1位のチームに1勝のアドバンテージが与えられ、2つ先勝した方がe日本シリーズ(来年1月12日)へと進む。3位から代表決定戦に挑むたいじ要する巨人は1敗も出来ない戦いとなる。

熱を帯びてきたeBASEBALLのプレーオフで、たいじの成長が光る。公式プロフィルのパワプロ歴はわずか2カ月。11月24日に行われた第3節で中日でらナゴ! に勝利すると、最終第5節まで破竹の3連勝。5節で対戦したパワプロ歴8年の広島ゴジラも「今までパワプロをしてきて、ここまで打たれたのは初めての経験。たいじ選手は節を重ねるごとに成長している。想像以上に力があった」と舌を巻いた。

強さの秘密はどこにあるのか。たいじは「楽しいからですね」と笑う。きっかけはパワプロ内のマイライフにハマッたこと。プロ野球選手としての一生を過ごす育成シミュレーションモードだ。「とにかくバッティングをずっとやってました。まずは打つ楽しさですよ。確定ホームランにするとめっちゃ気持ちいいじゃないですか」と話す。原巨人が掲げる「ノビノビ野球」ではないが、ゲームに触れた瞬間の楽しいという原体験を抱き続けている。

もちろん技術的な面での習得も高い。打撃では配球を読む。詳細は明かせないが、最終節で8得点を挙げた際も相手のクセを見抜き、きっちりと狙いを定めていた。「(通常よりも速い)全力ストレートは読まないといけないですからね。反応で打とうとしても間に合わない」と説明。最終節の初回には、内角低め149キロの直球を完璧に捉えて試合の流れを決める3ランを放った。

パワプロ歴2カ月からの日本一へ「スプラも日本一をとって、パワプロでも取れたら最高ですね」と力強い。いざ、下克上。「ゲームは楽しくなきゃ成長しません。練習がつらいとモチベーションも続かないですし」と笑顔の“王者”に注目だ。【島根純】