新たな「家族」つくります!広島菊池涼介内野手(28)が14日、静岡・清水庵原(いはら)球場で自主トレを公開。昨年まで「家族」と称された結束を守るため、フル回転する覚悟を示した。長男格だった新井貴浩氏が引退し、同学年の丸がFAで巨人移籍。首脳陣の配置転換もあり、チームは再建を迫られる。新戦力として人的補償で加入する長野を迎え、新たな家族でリーグ4連覇を狙う。

チームを支える決意が、菊池涼の足さばきに表れていた。公開した内野ノックのテーマは「足を使って捕り、足を使って投げる」。黒土の内野をスルスルと移動して捕球地点に入り、右手を添えてキャッチ。大きくステップを踏みながら一塁へ送球。三塁、遊撃、二塁の3カ所で打球を追った。昨年末に米ロサンゼルスで体の動きをチェックした成果を見せつけるような、美しいステップだった。

家族の絆を守る。昨年は新井貴浩氏を長男とする家族のような結束で、リーグ3連覇を引き寄せた。その新井氏が引退し、同学年の丸はFAで巨人に移籍した。大きな穴が2つあいたが、家族を崩壊させるわけにいかない。「去年は『一丸』という感じが『家族』に変わった。またワンランク下がって『一丸』にならないように」。独特の表現で絆の大切さを力説した。

チーム結束のため、首脳陣と選手の橋渡し役を買って出る。佐々岡、山田両コーチが1軍に配置転換となり、指導法が変わる可能性もある。「コーチともコミュニケーションを取っていかないといけない」。首脳陣の考えを若手にかみ砕いて伝え、ときには選手の思いも進言する。難しい役割を引き受ける。

丸の人的補償で加入する長野に対しては「人柄もいいし、すぐとけ込める」と信頼を寄せた。「うちの松山のポジションがなくなるんじゃないかという心配だけ」と、4学年上の松山を呼び捨てにする「いじり」も交えて歓迎。選手同士の関係にも気を配る。

年末の契約更改で、ポスティングシステムを使ったメジャー移籍の希望を公表したが「それ以上のものはない」と封印した。それよりも「1試合1試合、143試合(で)143回、何でもいいんで、1つでもチームに貢献したい」。菊池涼は家族を第一に、今季を戦う。【村野森】

○…菊池涼は昨年末、小麦粉を取らないグルテンフリーに取り組んだ。ロサンゼルスで米国の栄養士に指導を受けたもので、昨年に続く試み。「食事だけでパフォーマンスが上がるなら、やらない手はない。揚げ物は絶対ダメで、麺類もやめたほうがいい。シーズン中も気をつけていきたい」。肉類、米を多めに取り、コンディションを整える。