日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<06年3月26日付>

06年の開幕戦(対楽天)には、北海道移転3年目で最多となる満員の4万2393人が詰めかけた。新庄がハーレー・ダビッドソンの3輪タイプにまたがって登場すると、坪井、稲葉、金子誠ら、この日のスタメンもサイドカーでグラウンド入り。新庄の3輪タイプは国内に1台しかないという代物で、価格は約550万円。球場関係者が「(ドーム)開場以来、一番速く動いた生物」と驚くスピードだった。

試合は1回、小笠原が右中間席に先制ソロをたたきこんだ。これは、この年のプロ野球第1号本塁打。日ごろは冷静沈着で物静かな「侍」も、お立ち台では興奮を隠せなかった。時折「さ、最高ですね」と言葉を詰まらせ、「これだけ(観衆が)集まったら“残り139試合”頑張っていくだけ」と言い切った。この年のペナントレースは136試合制のため、正確には残り135試合。というか、年間140試合制だったのは03年までだったのだが…、それだけうれしい1発だったということだ。

スコアは3-1。開幕戦勝利は本拠地移転後初めてのこと。この年は3月に第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われ、小笠原はレギュラーとして優勝に貢献した。その小笠原をして「これだけの声援、WBCに匹敵する。やらなきゃ男じゃないと思った」と言わしめた雰囲気。だが、まだ序の口。この年、4万3473人の観衆が集まった最終戦でレギュラーシーズン1位を決め、プレーオフで25年ぶりのパ・リーグ優勝。そして44年ぶりの日本一へと上り詰めていくことになる。