日刊スポーツのみなさま、こんにちは。山田です。今回のテーマは「ルーキー」です。

なんと時がたつのは早いのでしょうか。5日後にはキャンプイン。球春が近づくと、なんだかソワソワ…。根っからの野球人なんでしょうな(笑い)。

わたしは、甲子園で脚光を浴びた選手が、そのままプロ入りし、スター街道をいくのは理想的と思っています。これは球団の育て方によるところが大きい。未知の世界に入ってくる新人の前途は、指導者の責任にかかっている。

最近はその教育が難しい。これは会社でもいえることで、先輩、後輩、上下関係に乏しい。今は野球を離れるといろんな遊びがある。1人部屋で、練習が終わるとスマホをいじってるわけでしょ。すぐに他のことに興味がいきがちです。

わたしの現役時代は、先輩と同部屋が当たり前でした。1年目は三塁手の山口富士雄さん、遊撃手の阪本敏三さんと一緒。朝起きたらお茶を入れ、練習から帰ったときもお茶を用意する。今では考えられない。でも、時間があれば、懇々と野球をたたき込まれた。

古いとか、時代の流れといってしまえばそれまでだが、そういう時間が少なく、関係も希薄。なにを言いたいかというと、プロ入りしたら、「何年かは野球に没頭しろ」と言いたいのです。キャンプでも伸びる新人はノルマをこなした後も練習に打ち込んでいる。

今年の高卒ルーキーは評判が良い。中日根尾、ロッテ藤原は魅力的。2年目の清宮(日本ハム)、安田(ロッテ)だって注目です。日本ハム吉田輝星も? これは期待大だね。

そもそも秋田出身だから、あれだけ騒がれた。都会っ子だったら、あそこまではない。マスコミからも追い掛けられ、ファンからもキャー、キャーいわれるんだろうね。

でも最適な球団に入った。ファームの監督は荒木大輔君。早実1年から“大ちゃんフィーバー”の輪のなかにいた。いいことも、悪いことも、自分をだぶらせながら、ちゃんと教えてくれるだろう。

でも吉田よ、自分を見失っちゃいけないよ。プロの世界は厳しい。ダルビッシュ、大谷とはレベルが違うんだから、舞い上がっちゃいけない。

焦らなくていい。じっくりやれ。キャンプは体作りぐらいで。投げるのは5月か6月ぐらいでちょうどいい。わたしは則本(楽天)のような投手に育たないかなと思ってる。力投型で、気持ちをだすタイプにね。

わたしも含め、秋田のファンは、お前のこれからを楽しみにしている。今のままの素朴な吉田でいい。そして、東北、みちのくで感じる遅めの春に、ツクシのように、すくすくと芽をだしてくれよ。(終わり)(日刊スポーツ評論家)