今秋ドラフト候補には、四天王と呼ばれる存在が2つある。「高校生投手四天王」(大船渡・佐々木、横浜・及川、星稜・奥川、創志学園・西)と、「大学生捕手四天王」(慶大・郡司、立大・藤野、東洋大・佐藤、東海大・海野)だ。

さらにもう1つの四天王が、栃木・小山市に君臨する。白鴎大(関甲新学生リーグ)にいるドラフト候補4人衆だ。それぞれが強烈な個性を持ち、四天王や4人衆というより「白鴎戦隊○○レンジャー」とか命名したくなるほどだ。

1人ずつ紹介しよう。

「レッド」は主将のラミレス・レンソ内野手(3年=文星芸大付)だ。両親がペルー人で、自身もペルー国籍ながら、生まれも育ちも宇都宮。身体能力が高く、遠投は130メートル。この冬に主将に任命された。「よく周りが見えるようになりました」。花形の「4番・三塁手」として、情熱的にチームを勝利へ導く。

ラミレスを支える「イエロー」が、前主将の大下誠一郎外野手(3年=白鴎大足利)だ。抜群の勝負強さと長打力に加え、なんと2年生の時に主将に任命されたという強烈なリーダーシップを誇る。お笑いタレント・ケンドーコバヤシに似た風貌と語り口は、1度話したらクセになる。

最速147キロに加え、2段階に曲がるスライダーが武器の中村伊吹投手(3年=星琳)が「ブルー」的存在。レッドとイエローを冷静にもり立てるが、マウンドでは一変。「めげない気持ちが自分の売り。ピンチになればなるほど楽しいです」というマウンド度胸でチームを救う。

金子莉久外野手(3年=国学院栃木)は50メートル5秒7のスプリンター。塁間タイム3秒4は、プロでもなかなかいない脚力で、今秋ドラフト候補で最速との評判だ。さわやかな笑顔には「グリーン」を感じる一方、写真写りを気にするお年頃な一面もあり、意外と「ピンク」が似合う?

黒宮寿幸監督(47)は「オールAの高校生にうちに来てもらうのは難しい。1つだけAの選手を、いかに伸ばしていくか」との思いで20年以上指導し、大学選手権出場など成果を出してきた。その指揮官が「ずっと勝利にこだわってきた。でも、今年は純粋に野球を楽しみたい」と言うほど、4人の個性はグラウンドで際立っている。

1月が終わり、都合が合わなかった1球団を除き、プロ11球団が年始あいさつと視察に訪れたという。4人とも、指名間違いなしの選手ではない。むしろその強烈な個性の輝きが、プロまで届くかに興味がそそられる。「白鴎戦隊」が気になる1年になりそうだ。【金子真仁】