いつも見ていた盟友の笑顔が、窓越しに飛び込んできた。「お、チョーさん!」。ブルペンにいた西武内海哲也投手(36)は手を振る広島長野久義外野手(34)に、ただただ驚いた。春季キャンプを行う宮崎・南郷は、広島がいる日南と目と鼻の先。FAによる人的補償という同じ境遇で巨人を離れた2人が、長野のサプライズ訪問により8日、再会を果たした。

動揺したのか、チェンジアップが地面をたたく。長野から「引っかかってるよ~!」と愛のあるヤジ。軽妙なやりとりから、2人の信頼関係がかいま見える。ブルペン裏で対面すると、さらにあふれ出た。

内海 (ヤジは)いつも通り。巨人のときから。

長野 あまり邪魔するのもどうかなと思いまして。

内海 もっと激しく邪魔してほしかったわ。

長野 (元巨人)高木(勇人)が投げてるからやりましょうか?

気兼ねなく、心おきなく、本音を言い合える。報道陣からブルペン投球の感想を聞かれ、冗談まじりの会話が弾んだ。

長野 打てそうだと思いました。

内海 言うと思った。でもリーグ違うし、いいか。なんかうれしいっす。燃えましたね。

長野 とにかく打てそうでした。

2人が並んでカメラに囲まれるシチュエーションは巨人時代も多くなかった。

長野 2人で囲み(取材)とかないですよね。めっちゃ、レアですよ。

内海 じゃあ、また。

長野 連絡しますね。

嵐のように現れると「(西武)球団の配慮で内海さんと会うことができました」と言い残し、さっそうと去っていったチョーさんに、元気をもらった内海だった。【栗田成芳】