日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(18)が22日、沖縄・国頭(くにがみ)村の2軍キャンプで、同じ秋田出身、通算284勝男の山田久志氏(70=日刊スポーツ評論家)と対談した。

故郷のレジェンドからキャッチボール、フォーム作り、直球を磨くことの重要性などを説きながら激励を受けた黄金ルーキーは、プロでの真っ向勝負を誓った。【取材・構成=寺尾博和編集委員、日本ハム担当・山崎純一】

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山田氏 そろそろ秋田のきりたんぽが食べたくなっているんじゃないの?

吉田 はい。食べたいです(笑い)。

山田氏 体はしんどくないか?

吉田 大丈夫です。

山田氏 それにしても太い腕だ。投げ込んできた腕だって、すぐにわかるね。

吉田 ふふっ。

山田氏 この時期の秋田は十分に野球ができないからプロのペースを合わせるのが難しいのでは?

吉田 ちょっと難しいです。高校のときは4月ぐらいからちょっとずつ投げ込みをしてたので、2月からはしていませんでした。

山田氏 それにしても高校ではよく投げた。おれは能代高2年の夏、秋田県大会3回戦で、三塁を守って、金足農戦でサヨナラエラーをして敗れてるんだ。

吉田 ふふっ。地元の球場に名前がついているんで知っていました(能代球場=山田久志サブマリンスタジアム)。ぼくらも夏の大会であそこを使っていましたから。かっこいいなと思っていました。

山田氏 金足農は同世代で、ライバルとして戦った嶋崎久美さん(元金足農監督)が強くした。輝星君と会って、青春時代がフラッシュバックしたよ。

山田氏 昨夏の甲子園で人生が変わった。ファンから「キャー、キャー」といわれるんだろ。勘違いしちゃダメだぞ。

吉田 はい。

山田氏 今後はプロレベルで、どこにいるのかという視点でみられる。

吉田 まだ自分の全力をだしてないんで、それをだそうとするとフォームが安定しないんです。そこがしっかりしたら、どんどん走り込みしたり、基礎的なところからしっかり鍛えていきたいです。

山田氏 最近はキャッチボールをおろそかにする傾向が強い。肩慣らしに考えていたら大間違いだ。キャッチボールにも<1>バランス作り<2>フォーム作り<3>投球につながる--この3パターンがある。1つに10分かけても30分。球数を投げないなら、キャッチボールをやること。投手はどこかでバランスを崩す。崩れたら、また戻す繰り返し。キャッチボールを大切にね。

吉田 ストレートを磨くにはどうしたらいいですか? トレーニングしたらよくなりますか? フォームですか?

山田氏 一番先はフォームの完成だ。それさえできれば、自分のタイミングができて、どんどん体を鍛えていけばいい。また体を鍛えたら、ちょっとフォームが変わってくる。そこにまた理想のフォームを近づける練習をする、その繰り返し。若いし、馬力があって筋力も強そうだが、メジャーのような体より“しなり”を意識した体作りをすべきだろう。まだまだ速くなる。則本のような真っ向勝負にいくタイプになれば楽しみだ。

吉田 高校から則本さんの体の使い方、広めのステップ幅が似てるなと参考にしていました。まだスピード、変化球のキレはついていきませんが…。

山田氏 自分のイメージの直球ができ、球速アップでいい感じだなと思ったら変化球は必ず生きてくる。真っすぐが不安で、変化球にいったら真っすぐはストップするからね。

吉田 はい。

山田氏 ダルビッシュも、大谷も急にレベルが上がったわけじゃない。段階を踏んであそこまでいった。球質を上げていけば、自分で追い込めるときがくる。

吉田 初登板したら、打たれたら打たれたでいいんで、ボールが続くより、ストレートで強気にいきたいです。そこで打たれたら、もう1回やり直せばいいと思う。そこで通用するようになったら、高めにいってもいいから、強気に腕振って投げたいというイメージをもっています。

山田氏 秋田出身では石川(ヤクルト)も頑張ってる。プロ1勝は記念、20勝は記録、200勝は記憶に残る。目標は200勝と(個人で)県民栄誉賞受賞だね。プレッシャーを力にしたらいい。今、秋田で有名なのは、輝星と壇蜜だ(笑い)。みちのくの星になってほしい。

吉田 記録を作る、記憶に残るのは、モチベーションにしたいです。頑張ります。