前代未聞の光景が広がっていた。甲子園駅前を起点とした大行列は球場に向かって伸びた。イベント開催時などは逆方向に列をなすが、今回は違った。

お目当ては、小さなカードだった。1日から阪神タイガース仕様の交通系ICカード「タイガースICOCA(イコカ)」が先行発売。価格は2000円(デポジット500円含む)。阪神の球団旗デザイン(5万枚)と球団マスコットのトラッキーデザイン(3万枚)の2種類が合計8万枚、用意された。

熱狂的なファンが夜も明けぬ始発(午前4時45分)の前から並び始めたという。駅側は1時間15分も前倒しして、午前7時45分から発売を開始。行列は伸びて、午前10時の時点では、待ち時間は420分と表示され、約1000人が列をつくっていた。電鉄関係者も「結構、並んでますね…」と驚きを隠せなかった。それでも臨時券売機が5台準備され、駅員が10人以上で対応したため、目立った混乱はなかった。購入した中村莉菜さんは「トラッキー柄を2枚買いました。できれば確実にほしかったので。2時間待ちと聞いていましたが、並んだのは1時間ぐらいでした。限定品だったので、ほしいなと思って」と話した。

この日は午後6時までに並んだ人が購入でき、午後6時45分に販売終了となった。購入は1人2枚までと制限したが、わずか1日で約8000枚が売れた。先行発売は3日まで。4日からは梅田駅、甲子園駅などの一部券売機で一般発売される。