中学野球の春もセンバツから-。硬式野球リトルシニアの19年シーズンインを告げる全国選抜が25日、大阪で開幕する(試合は26~31日)。第25回の記念大会で出場枠が拡大し、昨秋の東北大会で準々決勝に勝ち上がった8チームがコマを進め、東北勢として過去最高の4強以上に挑む。岩手支部からは「盛岡トリオ」が出場。盛岡北と盛岡姫神は夏の日本選手権を含めても2大全国大会初出場で、OBにマリナーズ菊池雄星投手(27)を輩出した盛岡東とともに、盛岡旋風の予感だ。(学年は新学年)【取材・構成=中島正好】

<盛岡北>

盛岡北は創部21年目で悲願の2大全国初舞台を踏む。昨秋は3勝を挙げ、東北大会で8強入り。羽田野隆監督(60)は「相手のミスにうまくつけ込めた」と勝因を振り返った。

160センチの左腕エース万谷大輝(下小路中3年)がチームのカギを握る。羽田野監督は「特徴がないのが特徴。これといった決定打がない」と謙遜するが、「投手が踏ん張って、最少得点に抑えて、野手に足を引っ張られても粘り強く投げて勝ってきた」と万谷への信頼は厚い。小原大和主将(滝沢二中3年)は「チャンスがあれば爆発して点を量産する」とベスト8を懸けた弘前(青森)との3回戦では、10-9と打ち勝ってサヨナラ勝ちした。

全国舞台には無縁だったが、選手育成を主眼に運営されており、高校で才能を開花させる選手が多い。花巻東(岩手)では、09年にマリナーズ菊池雄星(27)を擁してセンバツ準V、夏4強の川村悠真主将(27)猿川拓朗三塁手兼投手(27=日立製作所)、12年にエンゼルス大谷翔平(24)と左右の両輪だった小原大樹投手(24=日本製紙石巻)、昨年の菅原颯太主将らがOBだ。

羽田野監督は「基礎体力を付けて、基本練習を徹底させ、高校、さらに上でも通用する選手を育てる。ただ本音は『勝ちたい』という思いがあった」と、全国初出場を喜んだ。1回戦は26日に紀三井寺球場(和歌山)で、地元チームの紀州由良(関西連盟)と顔を合わせる。

<盛岡姫神>

盛岡姫神は創部9年目で2大全国大会に初出場する。昨年は春の東北大会4強で夏はシードされたが、3回戦で涙をのんだ。新チームで臨んだ秋は4強入りし、選抜切符を勝ち取った。新谷聡監督は「部員数が増えて力も上がってきた。雰囲気が良く、ノビノビやっている」と、チームカラーを評した。

中心選手はエースで4番の金井翔陽(城東中3年)。178センチの大型右腕で、年末年始に台湾遠征したリトルシニア東北選抜でもエース格でフル回転。昨年11月に行われた楽天カップでは準決勝で東北福祉仙台北に0-1で惜敗も、2回以降は無安打投球で完投した。184センチの大型外野手、金拓門(城東中3年)も打線の軸。捕手で金井をリードする高橋勇慎主将(西根中3年)は「課題はチャンスであと1本が出ない。春までに攻撃力を上げて、全国ベスト4を目指したい」と旋風を起こす。

<盛岡東>

盛岡東は昨秋の東北8強で、2季連続の全国切符をつかんだ。選抜出場は5年ぶり2度目で、沢口大佐監督(31)は「春までの練習で足りない部分を補いたい」と話す。メンバーの半数10人が新2年生だが、左腕の今野憲伸外野手(河南中2年)が2番手投手に成長。前チームから主力の工藤優我投手(土淵中3年)と2本柱を形成する。

昨夏は日本選手権に初出場。1回戦で徳島中央(関西連盟)を3-0で下し、初陣勝利を挙げた。期間中に西武のホーム戦が重なり、メットライフドームを訪問。その後マリナーズに移籍したOBの菊池と対面した。大先輩の勇姿も刺激となった。沢口監督は「全国で少しは戦えた経験は大きかった。そのメンバーが残っている」と、新チームに期待する。

1回戦は三田(関西連盟)。3回戦までのブロックには、優勝候補筆頭の佐倉(関東連盟)が入る。大川仁和主将(下小路中3年)は「秋は打線がつながって勝つことができた」と振り返り、「選抜では、先輩たちができなかった全国ベスト8を目指したい」と意気込んだ。