日本ハム金子弌大投手(35)が4回9奪三振の好投で、完全復活を印象づけた。

アスレチックス戦(東京ドーム)の5回から2番手で登板。最初に対峙した昨季のア・リーグ本塁打王デービスを空振り三振に打ち取ると、5回は全てのアウトを三振で奪った。

走者を背負っても、慣れないメジャーの球審でも動じない。3四球は与えたものの、被安打3で無失点。「9奪三振は出来過ぎですけど、ストレートもコースに投げられたし、チェンジアップもしっかり腕を振って投げられたので三振が奪えたと思う」。14年オフに目指したこともあるメジャー相手の快投劇だった。

アスレチックス打線を手玉に取ったのが「変化球の中でも一番信頼している」チェンジアップだ。米アリゾナキャンプ中、ダルビッシュにも、投げる際の手元の感覚を問われた得意球。「常に低めを狙っているけど、僕のチェンジアップは高低の変化ではなく前後。高くても打者のタイミングがズレてくれればいい」と意識して操る。

腕の振りが真っすぐと同じだから、打者は幻惑される。この日はチェンジアップで4三振、宝刀の残像が効果を発揮して直球でも5三振。最速は143キロでも抜群のコンビネーションだった。「予測不可能な選手で、変化球、速球に振り回された。スプリットも多かったし、私も体勢を崩されてしまいました」。ア軍のメルビン監督も、お手上げだった。

移籍後最長の4回、最多の75球を投げて降板。金子は「相手も僕を知らない状況での試合。なかなか参考にならないけど、自分の投球である低めに、コースに投げることができたのでよかったです」と自己採点した。すでに決定している開幕2戦目の30日オリックス戦(札幌ドーム)先発へ、心配はなくなった。【木下大輔】

日本ハム栗山監督(4回9奪三振の金子に)「質のいいボールを投げれば、この打線相手にも、これだけの投球ができるということを他のピッチャーにも示してくれた」

アスレチックス・オルソン(昨季29発、金子から2三振)「とても良いチェンジアップを持っていた。ストレートがより速く見えたよ」