大船渡の怪物に続くぞ! 岩手・大船渡市出身の駒大・木下大成外野手(4年=大船渡)が、亜大との今季開幕戦で公式戦初先発した。

長打力を期待され「6番左翼」での起用。2三振で途中交代に終わったが、母校の後輩で最速163キロをマークした右腕・佐々木朗希(3年)に刺激も受け、14年秋以来9季ぶりの優勝に貢献することを誓った。

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184センチ、89キロと恵まれた体格の木下が、小雨が散る天を2度も仰いだ。大学初先発をつかみ取った気迫が空回り。「これまでは代打での1打席のみ。初めてスタメンで使ってもらいましたが、やはり緊張感などが違いました。最後のシーズンなので、まずは春に全力を出し切って終わりたい」。持ち味の長打力を生かし、好機での一打を積み重ねるつもりだ。

2回表無死一塁の第1打席。2度のバントミスで追い込まれた。続く低めのスライダーに体が動かず、3球で見逃し三振。4回表の2死一塁でも空振り三振。第3打席を前に途中交代。9日の第2戦に向けては「今日のミスを生かして、少しでもチームを勝たせる活躍がしたい」と無念の表情を切り替えた。

6日にU-18高校日本代表候補1次合宿の紅白戦で、高校生史上最速163キロをマークした佐々木の快投はニュースで知った。今冬の帰省時にも母校の練習に参加し、顔を合わせたばかり。「プロに行きたいと言って、ストイックにやっている姿を見てきた。後輩のあんな活躍は、自分にとっても励み。糧にしてやらなきゃいけないと思わせてくれます」。負けて全国デビュー出来なかった悔しさをバネに成長した佐々木のように、自身も屈辱の2三振を飛躍につなげるつもりだ。

11年東日本大震災では家族は無事だったが、親戚を亡くす悲しみも味わった。大船渡中2年時の12年3月には選抜高校野球で始球式を務め、甲子園のマウンドに初めて立った。同7月のオールスター(岩手県営)でも、巨人長野久義(34=現広島)を打席に、楽天嶋基宏捕手(34)が構えるミットに始球式で投じる貴重な経験も積んだ。父清吾さんは84年センバツで大船渡を4強に導いた三塁手。「野球っていろいろなことをつなげてくれると思っています」。野球への感謝を胸に、神宮舞台でもフルスイングする。【鎌田直秀】