プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの新潟は27日の群馬戦(群馬・前橋総合運動公園市民球場)を皮切りに4連戦を迎える。

6勝2敗で東地区首位を走るチームの中で、新外国人選手、左腕投手のホセリト・カノ(26)が奮闘している。兄はメジャー屈指の強打者、メッツのロビンソン・カノ内野手(36)。兄の激励を胸に日本での成功を誓っている。

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195センチの体格をフルに使ってカノは投げ込む。「自分の特徴は140キロ台の直球とチェンジアップ、カーブ」。投球練習では丁寧に持ち球をすべて試す。

春らしくなり、気温20度前後になると多くのチームメートは半袖で練習。ただ、プエルトリコで生まれ、ドミニカで育ったカノにとってはまだまだ寒い。ウインドブレーカーを着込むなど、コンディション調整に苦慮する。

初登板だった14日の群馬戦は3番手で登板し、1回を3安打9失点、5四死球。9日に来日したばかりで当然、気候にも環境にも不慣れな状態。力を出し切れなかった。それでも清水章夫監督(43)は合流当初から「球自体に力がある」と評価している。「中継ぎ向きか、先発がいいかはまだわからない」と、適性を見る意味でも4連戦で登板の可能性はある。

来日前、兄ロビンソンから受けたアドバイスを指針にする。「新しい土地のことをよく知ること。日本の野球の歴史をよく吸収すること」。メジャー通算314本塁打(22日現在)のスラッガーは、幼少時に公園で遊び、アイスクリームなどを食べさせてくれた優しい兄。そして尊敬する野球選手。「彼の規律的なところとプレーの強さが素晴らしい」と、兄と同様に、所属したチームで中心になることを目指してきた。

新潟に母国語のスペイン語を話せるチームメートはいないが、お互いがかたことの英語でコミュニケーションを図る。「彼らとたくさんのことを分かち合える」とすっかりなじんだ。目標はチームに貢献してチャンピオンシップに進出すること。その過程で、NPBへのアピールも、もちろん意識している。【斎藤慎一郎】

◆ホセリト・カノ 1992年9月16日生まれ、プエルトリコ出身。6歳でドミニカ共和国に渡る。12年から同国の国内リーグでプレー。14年に米国に渡り、タンパベイ・レイズ、シアトル・マリナーズのマイナーに所属。父ホセさんも元メジャーリーガーで、ヒューストン・アストロズの投手だった。195センチ、86キロ。左投げ左打ち。背番号48。