日本高野連による第1回「投手の障害予防に関する有識者会議」が26日、都内の明治記念館で行われた。

参加した12人の委員の中で、唯一のプロ野球経験者が、早大野球部監督の小宮山悟氏(53)だ。

ロッテや大リーグ・メッツなどで活躍した同氏の主張を紹介する。

まずは自身の経験から話を始めた。

「プロ野球で2000イニングを投げましたが、それほど投げて外科手術を受けていないのは、平成ではレアだと思います。なぜ、可能だったのか? 正しい体の使い方を、いいタイミングで教えてもらったからです。幼い頃、毎日壁に投げては捕っての繰り返しでしたが、故障しなかった。体の使い方が良かったのが1点。生まれながら体が強かったのが2点。成長してからも無理せず、楽しんでやれたのが3点です。普通に考えたら、壊れてもおかしくありませんでした。全員が同じようには無理です。プロ野球に入ってからも学びなおし、44歳まで投げられました」

こう前置きしてから、球数制限について持論を述べた。

「無理をすれば壊れます。ですが、人それぞれ、個人差がある。一律に線を引くのはどうか。また、中学の段階で無理をしておかしくなっている可能性もある。高野連だけで取り組むことじゃない。小学、中学でも議論をたたかわせないといけない」

会議終了後、小宮山氏は「非常に有効な話し合いができましたが、解決しないといけない話が多すぎる。1つ1つ、つぶすのは時間がかかる。方向付けをしないと。ただ、解決は無理だと思います。全国の高野連の考え、意思が統一できて、初めて成功となる。そう願ってはいますが」とし、極めて困難な課題であると認めた。

また、自身が受けたような「正しい体の使い方」を、全ての指導者が教えられるのか。この点についても「無理でしょう」と現実的に答えた。「その子にとって、何が正しいのか。高いレベルを目指す子もいれば、故障しなければいい、という子もいる。ただ、ボールを投げている姿を見て、危機察知能力がある指導者なら、止められるのですが」と続けた。

簡単には答えが見つからない問題だ。「故障予防を最優先に。全国の高野連が、同じ熱量で共通認識を持つこと。それがゴールです。(高校野球は)スケジュールがタイトすぎる。それが解決すればいいのですが」と締めた。