大商大が優勝に王手をかけた。5日の第2戦に勝てば8戦全勝の勝ち点4。勝ち点で並ばれる可能性はまだあるが、勝率トップが確定する。1節を残して、2季ぶりのリーグ優勝が決まる。

1年生が反撃を断った。8-2の8回、2番手吉川貴大投手(3年=開星)が失策がらみで2失点。次打者の初球に暴投で2点目を与えたところで富山陽一監督は非情の投手交代コール。送られたのは智弁学園(奈良)から入学したばかりの伊原陵人だった。

打席途中から登板した最速145キロ左腕は四球を与えたものの、その後は2連続三振を奪った。登板は4試合目。すべて救援で、自責点0を継続中だ。「いつも大西さんが1戦目に投げて、疲労もあると思う。自分たちがしっかり投げて、少しでも先輩たちの力になれるようにしたい」と自覚を示した。

受けていた捕手はこの回から出場した碓井雅也。智弁学園と同じ奈良県のライバル天理から入学。高校3年時から交流があり、仲もよかった。偶然にも進路が一緒になり、驚いたという。伊原が投げた4試合は全て、途中出場の碓井が受けている。富山陽一監督は「ちょうど智弁と天理で、あいつには負けたくないというのもあるんじゃないですか」と切磋琢磨(せっさたくま)を期待した。

攻撃陣は好調をキープ。初回1死満塁で戸田航史内野手(3年=大商大高)が左翼線に先制の2点二塁打。笹治健汰外野手(4年=近江)も右前打で続くと、2回にも福元悠真外野手(2年=智弁学園)の適時二塁打で加点。5回には工(たくみ)遼汰内野手(4年=広陵)の2点三塁打で6-0とした。

ドラフト候補の大西広樹投手(4年=大商大高)は安定した投球だった。7回まで失策による2点(自責なし)に抑えた。第2戦はダブルエースとしてチームを支えてきた橋本侑樹(4年=大垣日大)が先発見込みだが、大西は2戦目に備えて、完投をしなかった。「明日の準備をしたかった。今日しっかり抑えて、明日につなげる試合にしようと思って登板しました」。エースは連投で優勝を飾る意気込みだ。