日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が「流行体形」の長距離砲に◎印をつけた。5月26日の都市対抗野球近畿地区第2次予選のパナソニック戦(京都)で今秋ドラフト候補の片山勢三内野手(23=九州共立大)をチェック。176センチ、105キロと西武中村、山川に通ずる「おかわり体形」が放つ長打力の魅力をひもといた。

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赤ちゃんを抱っこして揺り籠のように左右に振る姿勢を想像してほしい。脇を締め、腕をおなかにくっつけて揺らすのが一番、力を入れやすい。相撲の突き押しも同じだ。腕を体から離さずに脇を締めてする。相手に当たった時には肘が曲がり、そこからグッと押して伸ばすから力が伝わる。

片山のような「あんこ形」は自然とこの形になりやすい。厚みのある胸と腹に両腕がくっついたように、体の近くでスイングできる。パ・リーグの新旧本塁打王も同じ体形。西武の中村、そして体重移動が大きい分、少し違うが山川も同タイプと言える。長距離砲の成功体形を片山は備える。

ただ視察した三菱重工神戸・高砂戦はすり足だった。以前は左足を上げていた。この試合では調子を落とし、打順も7番。試行錯誤の末のすり足なのだろう。ただ私も経験があるが、もともと足を上げていた打者がすり足にすると不思議とタイミングが取れない。自分の間がなくなってしまう。現に打席ごとに左足を引くタイミングもバラバラだった。いい打者はどんな投手にも自分のスイングができるが、相手に振らされていた。

修正は難しくない。フリー打撃で一本足打法のつもりで足を上げ、十分に右足に体重を乗せてタイミングを取る意識を強くすると直ってくる。片山の打球速度、飛距離は持って生まれたもの。柔らかさもある。1発のある打者は局面を変えられる。ドラフトで走力を気にする球団もあるが長打の一芸は代え難い。