広島野村祐輔投手(29)が「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦で、プロ最短の1回で5失点KOされ、2軍降格となった。

打者9人相手に球数は49球を数え、6安打5失点。決死の覚悟でフォームを矯正して臨んだ一戦で、無残に打ち込まれた。リリーフ陣が0封リレーし、バティスタの18号2ランなどで1点差まで追い上げたが、チームは交流戦最下位に逆戻り。もう1度、出直すしかない。

   ◇   ◇   ◇

際どい球はファウルで逃げられ、少しでも中に入ると痛打された。1回無死満塁から中田、王柏融に連続適時打を浴び4失点。さらに2死一、三塁から中島に7連続を含む8球ファウルで粘られ、左前適時打を浴びた。一塁走者が三塁でタッチアウトとなり、ようやくチェンジ。1イニングで18球ファウルを打たれ、49球を投じた。2回のマウンドに立つことはなかった。

佐々岡投手コーチは「低めにいっても打ち返されていたんだから、ボールに強さがないということかな。週の初めで粘ってほしかったんだけどね。あそこで限界だと思った」と話した。そして「ファームに行かせます」と再調整を明言した。野村は「しっかり打たれたという感じ。チームに申し訳ない。粘り強く投げられない自分が悔しい」と唇をかんだ。

必死だった。5月29日、プロ163戦目で初めて、登板翌日にブルペンで投球練習をした。6月2日に2度目のブルペン入り。疲労が残るリスクを負う「禁断の調整」で横振りのフォームを縦振りに矯正し、上からたたくイメージでボールに力を伝えようとした。それを受けての6月4日西武戦は、6回4失点ながら手応えがあった。今回の登板で、復調を証明したかったが結果は無残だった。

12日まで出場選手登録が続けば国内FA権の取得条件を満たしていたが、2軍落ちにより先送りとなる。重心のぶれのないフォームを完全に自分のものにすることが先決。この先の戦いに向け、1日も早い完全復活を目指すしかない。

チームは再び交流戦最下位に後退したが、2回以降は中継ぎ陣が0封リレー。バティスタの18号2ランで1点差に迫るなど収穫もあった。緒方監督は「中継ぎも野手も最後まで、もうちょっとのところまで、あきらめずに、試合を捨てなかった。また明日がんばります」と前を向いた。【村野森】