楽天塩見貴洋投手(30)が「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦(ヨーク開成山スタジアム)に先発。7回を5安打1失点にまとめ、腰手術から復帰後負けなしの3勝目を挙げた。

ブルペンから物足りなかった直球は見せ球で生かしつつ、変化球で料理。3試合連続で7回以上を自責点2以内の「ハイクオリティースタート」をクリアし、安定感が光る。チームは3連勝で、貯金は今季最多に並ぶ7。単独首位に浮上した。

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塩見は速やかにプランを変更した。「ブルペンから直球が走っていないと感じていた。真っすぐは見せ球にして、変化球を多めに。(変化球は)どの球種でもストライクが取れたので」。3者連続空振り三振の5回を除いて毎回走者を背負っても粘った。

致命傷を避ける危機管理も徹底している。6回に山田哲に浴びた1発を含め、今季4被弾はいずれもソロにとどめている。

名伯楽のひと言でウイニングショットに磨きがかかった。2試合前の登板では落ち方が鈍く「チェンジアップみたいになってしまう」と不満を漏らしていたフォークボール。遠征に同行しない残留組として仙台で調整中、佐藤義則投手テクニカルコーチから指摘を受けた。「ちょっと、手首が寝てるぞ」。わずかな修正を施すだけで、前回登板の巨人戦では自己最多タイ10三振を量産する決め手になった。この日も5回に9球粘られた奥村のバットを空を切らせるなど、勝負どころで威力を発揮した。

ヘルニア発症時に悩まされた右足のしびれはなくなっても、不安が消えることはない。巨人戦では、手術後初めて試合の中でバントを処理。無難にアウトを取った裏で、マウンドから駆け降りて捕球するために止まる瞬間は、恐怖心が首をもたげた。「2年間、仕事をしていないのでね。うかうかしていられない」。葛藤を使命感で上書きし、4戦3勝。5月の盛岡に続き、6月の郡山でも年に1度しかない開催地へ白星を届けた。【亀山泰宏】