佛教大が91年以来のベスト8進出を決めた。愛知工大を振り切り、同年以来の2勝を挙げた。

田原完行監督(59)は「驚いています。恐れ多い。(京滋大学)連盟の代表なので精いっぱいやりたい。上には上がいるので、もちろん勝ちは目指しますが、選手にはいい経験にしてほしい」と13日の準々決勝に向けた抱負を語った。

先発した中山塁投手(4年=岡山南)が7回まで毎回の9安打を浴びながら粘り強い投球。曲がりの大きいスライダーを振らせて、1失点で完投した。「立ち上がりは緊張で球が少し上ずったけど、その後はいつも通りに投げられました」と振り返った。

リーグ戦では4勝、防御率0・32と抜群の成績。1回戦で先発したエースの中山怜央(4年=奈良大付)とともに5年ぶり選手権出場の原動力となった。同じ岡山出身のオリックス山本由伸投手の動画を約1年前から見て、参考にしてきた。「打者の反応が一番変わってきた。速球と同じ軌道から変化球を曲げるようにしている」。的を絞らせず集中打を許さなかった。

打線では4番の強烈パンチが効いた。3-1と追加点がほしい5回。4番を打つ石井太尊内野手(4年=玉野光南)が左翼にソロアーチ。ボクシング元世界王者のマイク・タイソンが由来の「たいそん」の名前通り、力強い飛球を左翼中段に運んだ。「直前に1点返されて、早く1点取らないと、のちのちきつくなると思った」。効果的なボディーブローだった。

リーグ戦では本塁打なし、打率2割5分8厘と不調。大学10号だが、公式戦では1年秋以来の2本目。昨年は打ちたい思いが強すぎて大スランプに陥った。本塁打を打つ前にもベンチで田原監督に「何も考えずに振れ」と言われ、無心で自分のスイングを心がけた。主砲は「新チームで掲げた目標は全国ベスト4。次も投手を楽にできるよう、先制したいです」と、さらに上を見据えた。