大商大が15年以来4年ぶりのベスト8進出を決めた。2勝もその時以来だ。

殊勲は今大会初登板の橋本侑樹投手(4年=大垣日大)だ。2回に失策がらみで1点失ったが、以降は危なげなし。わずか3安打で1失点完投した。

最後の打者を一ゴロにしとめると左手を思い切り振り下ろしてガッツポーズ。「チームが勝てたのが一番うれしかった。今日は制球を意識しました。リーグ戦でいい投球ができず、チームに迷惑をかけていたので今日は何としても勝ちたかったです」。1回戦で1失点完投したエース大西広樹(4年=大商大高)に続き、この春の自身初完投で意地を見せた。

大西とともに1年時から登板を重ね、2年秋はMVP、3年秋は防御率1位と実績十分の最速148キロ左腕。今春も盤石の先発2本柱と思われたが、左手中指のマメに悩まされた。最初の3節に先発したあとに戦列を離れた。約3週間のブランクを経て、5月19日の最終戦で復帰。5回無失点と完治をアピールして、今大会に臨んでいた。

2年前の大会でも東京ドームで投げていたが、今回先に投げた大西にマウンドの特徴を聞いていた。傾斜が強めだと聞き、あごが上がらないように帽子を目深にかぶるなど工夫をこらした。試合後は大西から「ナイスピッチ」と言われ、握手を交わした。

富山陽一監督(54)は勝利監督インタビューで橋本の長所を聞かれ「顔ですね」と答えた。半分ジョークで、半分本気。「本当にいい顔をしていたから」と試合前から充実している様子を感じ取っていた。「悔しい思いをしていたと思う。今日のために調整して、うまく克服してくれた」と頑張りを認めた。

普段は自家用車で移動することが多い大商大の選手たち。大会中はさいたま市の宿舎から電車を乗り継いで移動している。大西も橋本も「人が多すぎ。座れないし、暑いし、きつい」と慣れない都会生活にストレスをためている。ただ、この日は大西と2人、用具を運ぶワゴン車に同乗できた。「全然違いました」と快適に東京ドームに乗り込んだ。

大商大は75年、76年と連続で準優勝になったのが最高成績。強力な左右両輪を擁して、関西6大学リーグ初の優勝を目指す。