元気なおっちゃん、帰ってきました! 楽天久保裕也投手(39)が「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト2回戦(楽天生命パーク)で今季初登板。

ピンチで見事な火消しを見せ、今季初勝利を飾った。同じ松坂世代の平石監督を胴上げするため、頼れるベテランが必死に腕を振る。チームは4連勝で貯金を今季最多の8とした。

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初めてお立ち台に上がったドラフト7位ルーキー小郷の隣で、久保が声を張った。「元気なおっちゃん、帰ってきました!」。心から楽しそうに顔をくしゃくしゃにする39歳が、みんなを笑顔にした。

シーズン初登板は1点リードの4回1死二、三塁としびれる場面。「まあ、力みますよね」と苦笑したが、やるべきことは体が覚えている。「力でねじ伏せることは難しくなってきている。(肝は)制球とタイミングをずらすこと。ベテランならでは、という投球」。丹念にコースを突き、最後は難敵青木を打ち取って無失点。イニングをまたいだ5回は山田哲、バレンティン、村上のクリーンアップを3者凡退。バレンティンには低めの変化球を振らせ、村上は外角144キロで見逃し三振に仕留めた。

キャンプから2軍で牙を研ぐ時間が続いた。「楽天に入って、野球がやれる場所を与えてもらって、野球がやれる喜びを感じている。名前をコールされるたび、ファンから大きな声援をいただいている。それがある限り、1日でも1年でも長く」。途切れることのないモチベーションに、決意が加わったシーズンでもある。「松坂世代、同学年で初めて監督になった平石監督の初年度。初年度は1回しかない。何としても胴上げしたい。明確な目標があるから、楽しむだけじゃなく必死です」と力を込める。

シーズン初勝利の余韻に浸ることなく、ウエートトレーニングをして引き揚げる頃には日付が変わっていた。試合後の日課としているのは、年齢とともに変化する体との付き合い方を考えてのこと。「僕にとって指先は生命線。試合前に走って下半身が張るのはいいけど、上半身には(登板前に)負荷をかけないようにしている」。繊細なこだわりを貫きながら、同い年の指揮官のために魂を込めて右腕を振る。【亀山泰宏】