広島が日本ハムとの「日本生命セ・パ交流戦」で延長12回の激闘を演じ、2-2で引き分けた。奮闘したのは1番長野久義外野手(34)だ。

2年ぶりの三塁打を放つなど、移籍後初の2試合連続マルチ安打をマーク。前日12日は吉田輝にプロ初被安打を浴びせ、適時二塁打で初失点も記録させた。チームはセ・リーグ首位ながら交流戦は単独最下位と波に乗れないが、ベテランのバットは頼もしい。

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長野の鋭い眼光が、日本ハム先発加藤を捉えた。4球目を右翼ポール付近のフェンスに直撃させ、ボールがグラウンドを転がる間に悠々と三塁ベースに到達した。フェアかファウルかのリプレー検証がなされたが、判定はそのまま。ベース上でペコリと頭を下げた。三塁打は、巨人時代の17年7月29日のDeNA戦以来、2年ぶり。次打者菊池涼の中前打で先制のホームを踏んだ。

負の連鎖を断ち切った。前の試合まで、DHで先発した4選手は5試合計18打席で無安打。その中には6日西武戦に7番DHで出場し、4打数0安打に倒れた長野自身も含まれていた。第1打席でその壁を破り、先制のホームを踏んだ。3回には中前打を放ち、移籍後初の2戦連続マルチ安打も記録。奮闘する先発山口をバットでもり立てた。

延長10回無死一、三塁の場面では、打席で醸し出すオーラで同じ元巨人の公文を3ボールと追い詰めた後、一塁走者が盗塁したこともあり申告敬遠で満塁に。これが、勝ち越し点につながった。前日12日は、プロ初勝利を挙げた日本ハム吉田輝に1回の右前打でプロ初被安打を、2回の左中間適時二塁打でプロ初失点を記録させたが、自らの充実ぶりも際立っている。

交流戦男だ。巨人1年目の10年には楽天岩隈(現巨人)からソロアーチを、13年には楽天田中(現ヤンキース)から先頭打者弾を放つなど、昨年までの9年間で18本の本塁打を放っている。交流戦前に「パ・リーグは真っすぐが速いイメージがありますけど、変化球でかわしてきたり、投手の傾向も変わってきている」と話したように、1打席目はフォークを、2打席目はカーブを仕留めた。

試合は延長12回引き分けに終わった。長野は「また明日、また明日」と言葉少なだった。交流戦巻き返しのキーマンとして、次の一戦に集中する。