日本ハムのドラフト1位、吉田輝星投手(18)がプロ初黒星を喫した。「日本生命セ・パ交流戦」の中日3回戦(ナゴヤドーム)で先発したが、3回6安打5失点でKO。

直球の精度が低く、立ち上がりから中日打線につかまった。プロの洗礼を浴びた右腕は、屈辱を糧に「大きい進化をしていけたら」と前を向いた。チームは3連敗で交流戦は2年ぶりの負け越し。リーグ順位も4位に転落した。

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真っすぐで、ねじ伏せることができなかった。プロ初黒星を喫した吉田輝は「自分の思うボールが投げられなかった。そこが、一番悔しい」と言った。ただ感情を表現したのは、この一言だけ。続けた言葉は雪辱への決意だった。「自分に足りないもの、これからしっかり身につけていかないといけないことが分かった。それをプラスにして大きい進化をしていけたら」とうなずいた。

打たれた要因を「ストレートが全て。いつもより球がいっていなかった」と振り返った。初回は平田、ビシエドら、したたかな上位打線に外角直球を狙われ、ことごとく逆方向へはじき返された。「初回はバタバタして、気持ちの整理がつかないまま、点を取られた。いい感じかなと思っても捉えられたりした」。

2回は平田から147キロ直球で空振り三振を奪うなど3者凡退。立ち直りかけたが、3回は先頭打者に安打を許し、再びリズムを崩した。「ドラゴンズ打線は追い込まれたら全部しっかり拾ってきた。想像以上に手ごわかった」と率直な思いを口にした。

前回登板後は「自分の真っすぐは、ある程度通用したのかなと思います」と自信を深めたが、常に高いレベルでの投球を続けなければ、プロの世界で勝ちを重ねることは出来ないことも痛感した。初めてのマウンド、初めての敵地でもあった。「フォームのタイミングが微妙にずれていた感じもあった。足の着き方だったり、細かいところが、いつもと違うなと感じた時がありました」。環境の変化に対応しきれない経験の浅さも露呈した。

デビュー戦は約80%だった直球の比率は、約58%。変化球が増えたのも直球を思い通り投げられなかったからだ。「今は、真っすぐがダメだったらあまり打ち取れない投球スタイル。ストレートも全然、威力が足りなかった。制球ができないなら、150キロのすごいキレのあるボールじゃないと抑えられないと分かった。まずはしっかり、ストレートを磨きたい」。次回登板日は未定だが、1軍に同行しながらコンディションの回復具合を見て判断されそうだ。名古屋で得た多くの課題。吉田輝が、成長に必要な経験を積んだ。【木下大輔】

▽日本ハム栗山監督「全てが勉強なので。いいも悪いもない。前に進んでいくしかない。(次回の先発登板は)しっかり考える」

 

▽中日平田(昨季リーグ打率3位で、吉田輝に二塁打と三振)「真っすぐが下から出てくるイメージ。いい球を投げていた。(スピード)ガンより速く感じた」

▽中日大島(吉田輝から1四球、1安打)「高めの真っすぐに力があった。浮き上がる感じ。投げる間合いを考えていたり、ルーキーっぽくないセンスも感じた」

▽中日ビシエド(昨季首位打者は吉田輝から初回同点二塁打)「初球の真っすぐにビックリさせられた。いい回転でピュッと来た。向かってくる姿勢がすばらしい。球離れが(打者に)近く、手元で伸びてくる」