プラスワン投票で選出された阪神原口文仁捕手(27)が、感謝のアーチを描いた。

大腸がんを乗り越え、たどりついた夢舞台。9回2死一塁で代打出場し、バックスクリーン左に2ランを運んだ。

出場が決まった際には、矢野監督からは「普段、しぶといバッティングを見せてると思うけど、甲子園でホームラン、狙えばいいんじゃないかな」と、本塁打指令も出ていた。それを伝え聞いた原口は、感謝しつつも「狙っても打てない。偶然を期待したいです」と応じていたが、打席でジャストミート。大病からの復帰初アーチを大舞台で飾ってみせた。

昨年末、人間ドックを受診し、大腸がんと診断された。まさか、原口が…。だれもが言葉を失う衝撃の告知にも、本人はくじけなかった。家族、チームメートら待っていてくれる人のため、必ずまたバットを握る。グラブを手にする。その一念で1月末に手術を終え、リハビリを経て3月上旬に2軍に合流。1歩ずつ、復帰への道を歩んできた。1軍復帰初戦となった6月4日ロッテ戦で適時二塁打を放ち、同9日日本ハム戦でサヨナラ打。本拠地で「みんな、ただいまー!」と叫んだヒーローを、甲子園は大歓声で出迎えた。その1カ月後に届いた知らせが、球宴出場。その舞台で、不屈の男が輝いた。