広島小園海斗内野手が、ヤクルト2番手大下の初球カーブを捉えた。3-1の3回2死二塁。小気味いい打撃音を残し、2号2ランが右翼スタンドに伸びた。2日前にプロ1号を放ったばかり。広島の高卒新人で2本以上本塁打を記録したのは、67年三村敏之以来52年ぶり3人目だ。「浮いてきた球を逃さず打てた」。気持ちよさそうに汗をぬぐった。

恐怖の8番打者だ。7月16日DeNA戦に8番遊撃でスタメン起用されてから11試合連続で先発出場し、その間38打数13安打の打率3割4分2厘、6打点、2本塁打。この日は7、8回にも安打を重ね、2度目の猛打賞も記録した。東出打撃コーチも「あいつは何なんや。全部の打席に内容があった。あいつが(打線に)火をつけている」と脱帽するしかない。

新人離れした対応力を見せている。2軍で53試合227打席、1軍で16試合53打席に立ったが、バットを折られたのは2軍戦での1度だけ。「詰まらなくなりました」。初めて見る投手の150キロ超の速球も、緩い変化球もフルスイングで捉える。緒方監督も「カーブにしても初球を捉えられるのは、状態がいいのももちろんだけど、打撃センスを感じるよね」と、驚きを隠さなかった。

勢いに乗った打線は先発野手全員安打、今季最多タイ18安打で連勝を9に伸ばした。首位巨人に5差、2位DeNAに0・5差。小園という新しい武器を手にした広島が、30日から巨人に襲いかかる。【村野森】