4番が“ピリッ”と空気を変えた。巨人岡本和真内野手(23)が、好走塁とマルチ安打でチームの連敗を6で止めた。

0-0の4回、チーム初安打となる中前打で出塁。三塁に進塁後、中堅への浅めの飛球でスタートを切って、先制のホームイン。5回には左中間への二塁打を放ち、阿部の1発で生還。2安打3得点で停滞気味の打線にスパイシーな刺激を与えた。2位DeNAと0・5ゲーム差、3位広島と2ゲーム差で首位をキープした。

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タラタラしてられねーよ。三塁走者の岡本が思い切って、スタートを切った。0-0の4回1死一、三塁、大城の浅めの中飛で本塁突入を決断。微妙なタイミングだったが、捕手のタッチをかいくぐって、左手でホームをタッチした。無我夢中のシャキッとした好走塁で先制点を奪った。「何とか、セーフになろうと走った。良かったです」。強い口調でハキハキと話し、バスに乗り込んだ。

不振にもがく4番の口内に懐かしい味が広がった。試合前、全英女子オープンゴルフを制した渋野日向子がプレー中に食べ、話題沸騰の駄菓子「タラタラしてんじゃねーよ」を原監督からプレゼントされた。指揮官は「私は気持ちをかみしめて、彼に渡した」。日本人女子42年ぶりのメジャー制覇へ導いたラッキーアイテムが、少年時代のようなけれん味のないハツラツとしたがむしゃらさを思い起こさせた。

バットにもスマイルが戻った。リードを3点に広げた5回2死、初球の直球をミスショットせず、左中間を破る二塁打。4回には自身11打席ぶりとなるチーム初安打でマルチ安打を飾った。4番として、連敗中は苦しみ、4日のDeNA戦は2度の得点機に三振。前夜も4打数無安打と精彩を欠き、試合前にはブルペンでバットを振り込んで打開策を模索した。

4番の鼓動に連動し、チームは2ケタ10安打9得点。岡本に打点はなくとも、2安打3得点で打線の中心で存在感を示した。原監督も「走塁もバッティングも良かった」と評価。混戦を極めるペナントレースの勝負どころは、先に待ち受ける。「また明日も頑張ります」と岡本。攻撃の核となる若き主砲が「和真スマイル」を取り戻し、まい進する。

 

◆タラタラしてんじゃねーよ 全英女子オープンを制した渋野日向子がラウンド中のプレーの合間に食べていた駄菓子。製造元は「よっちゃん食品工業」(山梨県中央市)。スケトウダラのすり身に辛い味付けをしたもので、子どもに限らず、大人には酒のつまみとしても好まれている。「スティックタイプ」は(希望小売価格は税別100円)で全国のコンビニなどで販売されている。