夏休み最後の野球観戦に来た子どもたちは絵日記に「夏の大山」を書けない。開幕4番を張り、奮闘してきた阪神の若きスラッガー大山悠輔内野手(24)が今季初めてスタメンから姿を消した。

登場したのは3点を追う9回無死一塁。代打で起用されたが、中川の初球を打ち上げ、右飛に倒れた。チームは「スミ1」の敗戦。自らへの悔しさを押し殺すように、無言でロッカーへと引き揚げた。

豪雨の影響で中止になった前日29日の中日戦も発表された先発オーダーに名前はなかった。この日で2割6分1厘、12本塁打。春先から好調が長続きせず、矢野監督も「悠輔が悪いというよりも北條の状態もいい。状態のいい北條でいこうかなと」と説明していた。逆転でのCS進出に向けて後に引けない。チーム最多の68打点を挙げ、得点圏打率も3割2分6厘だが、好調の北條を抜てき。指揮官は目の前の1勝を奪いに行く用兵を決断し、153試合連続先発出場で途切れた。

大山がいない打線は迫力を欠いた。1回にマルテが同点打を放ったが2回以降は無得点。矢野監督は「負けてる時は、だいたい同じような感じになってしまっている。チャンスはつくるけど、結局、1本が出ない形になってしまっている。なかなかうまくいかないのは、そういう部分」と悩ましげだった。北條も4回に安打こそ放ったが、起爆剤にはならなかった。

巨人戦5連敗となり、甲子園では8月1日以降、白星がない。指揮官は29日に「明日からの3連戦、もちろん、3つ取るつもりで戦っていく。1戦必勝しかない」と意気込んでいた。雨が降って1時間遅れのナイターだったが、完全な力負け。もう夏が終わる甲子園で、宿題はまだまだ山積みだ。チームもジリ貧の3連敗。3位広島と3ゲーム差で変わらないのが、せめてもの救いだ。【酒井俊作】