「スッテン」のち「ドッカン」だ! 日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が“笑劇場”を演じた。

8日オリックス22回戦(札幌ドーム)に「7番一塁」でフル出場。2回2死一塁の守備で、飛球を追いかけマウンド付近で転倒。場内の笑いを誘ったが、1点リードの8回、汚名返上とばかりに自己最多タイの7号ソロで貴重な追加点を挙げた。チームは7月26日以来の3連勝だ。

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観衆の笑いを、かっさらった。2回2死一塁の一塁の守備。清宮のがむしゃらな姿が、思わぬ形で大爆笑を誘った。西浦のマウンド頭上への飛球に、三塁手浅間とともに捕球を試みた。浅間の捕球合図は耳に入っていたが「無理だろう」。足を緩めることなく、無我夢中で追いかけていった矢先だった。

マウンドの傾斜につまずき、身長184センチ、体重102キロの巨体を揺らして、すっころんだ。「むちゃくちゃ恥ずかしかったです」。4万270人の観衆からは、どよめきにも似た笑いが起こった。「そんな盛り上げ方したつもりはなかったんですけど…」。飛球は無事、浅間がキャッチ。清宮はダイヤモンドの中心で立ち上がれず、あおむけになって恥ずかしさに浸った。

名誉挽回したのは1点リードの8回の先頭。まだクスクスと笑い声が起こる打席で、初球148キロを俊敏なスイングで捉えた。右翼席へ弾丸ライナーの7号ソロ。観衆をまた沸かせた。「本塁打とかっていうより、しっかり(塁に)出ることを考えていた」。1年目の昨季に並ぶ1発にも「まだまだです。残りの試合、少しでも多く打てたら」と真顔で見据えた。

栗山監督は「素晴らしかったけど、転んでる場合じゃない」と、手放しではたたえない。転倒姿に、指揮官は下を向き、腕で顔を覆って必死に笑いをこらえていた。「球場中に『オレが捕る!』と言っていたのに、あの転び方はないだろ! 笑いをこらえるのが大変だった」と思い出し笑い。ベンチではチームメートから「前がかりだな」「足動いてんな」とイジられ、結果的に盛り上げ役を買った。

チームは約1カ月半ぶりの3連勝。「本当にお互い(投打)で助け合いながら出来ているのが、勝てている要因かな」と再び乗り始めた波を、実感している。清宮の真っすぐ過ぎた全力プレーが、笑顔と勝利をもたらした。【田中彩友美】