元中日監督の谷繁元信氏(48=日刊スポーツ評論家)が、8月12日に神奈川県海老名市で野球教室を開催。横浜(現DeNA)と中日で、プロ野球記録の3021試合に出場した豊富な経験を、参加した26選手に伝授しました。今回は、その中からキャッチングのコツなどの捕手編と素振りの際のポイントを含む打撃編をピックアップしてお届けします。

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真夏の河川敷でも、26選手の瞳は、輝きを絶やさなかった。野球教室の冒頭に「今日は、1人1人に教えます」と宣言していたからだ。最後の約30分は、予告通りの質疑応答。次々に質問が飛び出した。

Q キャッチングでボール球をストライクに見せるには

谷繁氏(以下谷繁) きわどいところで捕った時に、審判にストライクと言ってもらおうと、ミットを動かすことがあるけど、そういうのは絶対にやってはダメ。おじさんから言わせてもらうと、それは下手なキャッチャー! 審判の心理として、パッと動いたらボールだと思う。ボールだから動かしたと思われるはず。だから、来たところで止めればいいんです。

Q 右打者の低めをキャッチするのが苦手です

谷繁 低めのキャッチは難しい。なるべくミットが落ちないように、人さし指の部分が下を向かないように努力してください。ここが落ちると肘が上がる。手首でミットを動かしているだろ? 肘を中心にしてミットを動かすんだ。

よどみない返答に、子どもたちの質問もノリノリになっていく。打撃の質問では「振ってごらん」とスイングをチェック。すると、一振りで指摘した。

谷繁 みんな、素振りしなさいというと、なぜ下を向くの? ボールは下から来ないぞ。投手のボールは前から来るだろ。目線はすごく大事。

別の選手のスイングも、やはり下を向いて振る。「お前ら、人の話を聞いてないな!」と一喝の後、指導があった。

谷繁 みんなに言いたいのは、素振りするときは常に実戦を意識して。目線が大事です。ボールを顔で追っかけてはダメ。目玉で見るんだ。顔は投手の方を向いて。良い打者は常に目ん玉で見る。悪い打者ほど、顔で追いかける。

Q アウトコースの高めが苦手、こすってしまって、届いていない

谷繁 構えたとき、ベルトのラインが、右打者だったら左が上がらないように。ベルトを真っすぐにして、水平に回る。そうすれば外角にも届く。踏み込める。届くように振るには、ベルトが真っすぐ。

明快な答えの連続で、選手たちは大満足の様子。最後に小学生の捕手の練習で大切なことは? と聞くと、やはり明快な答えが返ってきた。

谷繁 早く投げようとか、強く投げようとかは必要ない。正しい形で投げる。ノーバウンドで投げる必要もないし、ワンバウンドでもいいんです。大切なのは、正しい体の使い方です。

プロ実働27年の達人が説いた王道に、唯一中学生で参加した都秋竜君(中3)は「貴重な話を聞くことができて、大変勉強になりました。これからの野球人生に存分に生かしていきたい。できれば私立の強豪校に入って、甲子園に行きたいです」と感激していた。