日本ハムが、来季組閣の目玉として、球団OBで前中日2軍監督の小笠原道大氏(45)を招聘(しょうへい)することが8日、分かった。

1軍打撃部門の要職を要請しているもようだ。球団の北海道移転後初の日本一に貢献し、パ・リーグMVPに輝いた06年以来、14年ぶりの古巣復帰となる。来季の巻き返しに向け、重要課題である打線強化の旗頭として、愛称「ガッツ」のレジェンドに白羽の矢が立った。

   ◇   ◇   ◇

小笠原氏が北海道へ帰ってくる。来季、1軍打撃部門の要職として入閣することが判明した。90年代後半からビッグバン打線の中心として活躍し、球団が北海道へ移転した草創期も支えたレジェンドOB。移転後初めて日本一を勝ち取った06年には、本塁打と打点の2冠でリーグMVPを獲得した「ガッツ」。指導者として、14年ぶりに古巣へ戻ることになった。

打線強化の切り札として指名された。今季のチーム本塁打は93本。リーグワーストで、唯一3ケタに届かなかった。長打力不足は得点力の低下にもつながり、8月以降の失速、5位に終わった要因の1つとなった。小笠原氏は東京ドームから札幌ドームへ移転元年の04年こそ18本塁打だったが、05年は37本、06年は32本をマーク。広い本拠地にアジャストした経験値、ノウハウは大きな力になる。

次代を担うスラッガー育成にも期待がかかる。同氏が06年オフに巨人へFA移籍して以降、球団の日本人打者で30発超えは15年の中田だけ。球団には同じ左の長距離砲である清宮や、右では新人の野村や万波ら有望株が控える。23年春には北広島市内に新球場も開業する予定で、新たなボールパークで打線の主軸を張れる和製大砲を育てることも任務の1つとなる。

栗山監督にとっても心強い参謀となる。同氏は99、00年には犠打をしない「強打の2番打者」としてブレークした。指揮官も昨季から強打者の大田を2番打者に据える打線を基本としている。目指す攻撃型の打線を体現してきただけに、ともに新たな強力打線の構築を推し進めることができそうだ。近年のパ・リーグは全体的に球場が狭くなった。山賊打線を擁する西武が連覇を果たしたように、打ち勝てる強さが求められる。覇権奪回への肝となる攻撃力アップが、ガッツに託される。

◆小笠原道大(おがさわら・みちひろ)1973年(昭48)10月25日、千葉県生まれ。暁星国際からNTT関東を経て96年ドラフト3位で日本ハム入団。入団時は捕手。3年目から内野手転向。02、03年首位打者。06年は打点、本塁打の2冠でMVPに輝き、チーム44年ぶりの日本一に貢献。巨人にFA移籍した07年に史上2人目の両リーグMVP。13年オフに中日へFA移籍。15年引退。16~19年に中日2軍監督。通算打率3割1分は歴代9位(4000打数以上)。通算378本塁打、2120安打。ベストナイン7度、ゴールデングラブ賞6度。178センチ、84キロ。右投げ左打ち。