広島佐々岡真司監督(52)が11日、海外FA権を持つ長野久義外野手(34)に、直接残留を求めたことを明かした。長野は昨オフ、FA移籍した丸の人的補償で巨人から加入。1年目の今季はプロ入り最少の出場72試合にとどまったが、終盤は4番としてチームを引っ張った。来季の戦力と計算する新監督が、異例のラブコールで流出阻止に動いた形。球団側も、長野との残留交渉を開始した。

  ◇    ◇    ◇

佐々岡監督が、長野にラブコールを送っていた。マツダスタジアムで行われた秋季練習を見守った後、海外FA権を持つベテランについて問われると、迷わず答えた。「いっしょにやろうという話はしているし、僕の気持ちは伝えてある」。昨オフ人的補償で加入した経緯を踏まえ、残留を直接求めていた。

佐々岡流のコミュニケーションだ。5日に監督就任要請を受諾した直後に行ったのが、今季国内FA権の取得条件を満たした会沢、野村、菊池涼に直接電話をかけること。「力が必要だ」と訴えた。思いは伝わり、会沢が10日に残留を表明した経緯がある。「残ってほしい」という思いは、長野に対しても同じ。チーム編成はフロントの仕事というスタンスを保ちつつ、現場の長としてできる限りのアプローチをしていた。

長野は開幕直後、調子が上がらず苦しんだ。レギュラーが確約されない中で出番が徐々に減り、7月3日に出場選手登録を抹消。1カ月半にわたって2軍生活を送ったことが響き、出場試合はプロ入り最少の72試合に終わった。打率、本塁打、打点も自己ワーストだった。それでも佐々岡監督は、終盤に4番としてチームを支えた打撃を高く評価。今季以上の成績を残せると考えているもようだ。

球団側も長野との話し合いを開始した。鈴木球団本部長は「途中経過は話さない」としたが、残ってほしいという希望を伝えた模様。「初日なのでお互いの気持ちを話した。今後は時間をかけて話そうという話をした」と説明した。ここまで自身について話していない長野の決断が、注目される。【村野森】