若大将が、未来の巨人を担うスターを引き当てる。巨人は16日、東京・大手町の球団事務所でスカウトを会議を開いた。

原辰徳監督(61)も出席しドラフト1位指名選手を決定したが、非公表とする方針を示した。1位は「将来性」プラス「即戦力」の魅力を持つ星稜(石川)・奥川恭伸投手(3年)に内定した。験担ぎの水風呂で身を清めて、運命の時を待つ。

   ◇   ◇   ◇

約2時間半の会議を終えた原監督は「現段階のドラフト1位選手は決まった。しかし名前は伏せます。ピッチャーです。そこは言います」と非公表とする考えを示した。昨年はドラフト前日に大阪桐蔭・根尾(現中日)の指名を公表。今年一転させた根底には、戦略だけではない、リスペクトの精神がある。

「ドラフトはファンにとっても、選手にとっても我々にとっても夢がありますから。その部分を抱いてもらいながら、時を待つというところですね」と説明。巨人のドラフト1位選手が呼び上げられる瞬間の高揚感。「ドキドキするというのは1つの登竜門」とあえて名前は挙げなかった。

奥川、佐々木の“ビッグ2”を軸に1位候補を絞り込み、1位は奥川に内定した。1位決定については「比較的早かった。そこは意志力を持って。僕の場合は9月くらいには決めていた。私の独断という部分では」と、早くからほれ込んだ素材だった。他球団との重複は確実で、原監督がクジを引く。自身は4球団競合の末に引き当てられ「引かれる運は強いんだけど、引く運が…」と笑った。

巨人は3球団以上重複した1位の抽選は12連敗中で、原監督自身は通算1勝8敗。当日の朝は「身を清めて水風呂に入っておくとかね。水に打たれるとか」と身も心もピリッと引き締めて会場入りする予定。今季ドラフト6位から1軍初勝利を挙げた戸郷、育成選手から2軍首位打者に輝いた山下航らに続く、下位指名の逸材チェックにも目を光らせ、最終シミュレーションを終えた。【前田祐輔】

◆巨人の1位抽選 3球団以上が競合した1位(1巡目)の抽選は、過去2勝17敗。当たりは80年原辰徳(東海大)と92年松井秀喜(星稜)だけで、95年福留孝介(PL学園)以降は12連敗中。

◆原監督の抽選 過去1勝8敗。1勝はソフトバンクと2球団が競合した08年大田泰示(東海大相模)。3球団以上の抽選は7回すべて外れている。