創志学園・西純矢投手の交渉権は外れ1位で阪神が獲得した。

「高校四天王」の1人が夢をつかんだ。4人の中で最初に全国舞台で輝いたのが西だ。昨夏の甲子園で優勝候補に挙げられていた創成館から16三振を奪って完封。帽子を吹き飛ばして力投、マウンドでほえまくり、派手なガッツポーズを繰り出す2年生エースの姿は強烈だった。

ただ、喜怒哀楽の激しさは時に結果に悪影響もおよぼした。世間からも批判を受け、落ち込んだ。メンタルトレーナーとともにメンタルバランスを勉強。最終学年に入ると見違えるほど、パフォーマンスが安定した。最速は154キロまで伸びた。

夏の大会は自らが打たれて負けた。ベストの投球ではなかった。「あの瞬間からジャパンでは絶対にやってやろうと思った」。リベンジを誓ったU18W杯ではめざましい活躍。打っては南アフリカ戦で2発8打点。投げても先発、中継ぎとフル回転し、日本代表の中心にいた。

1年で飛躍的に評価を上げた佐々木、奥川にも劣らないインパクトを最後に残した。チーム内では「MVP」の声も挙がった。ムードメーカーとしても才覚を発揮し、メンバーはもちろん他国の選手とも積極交流。西の周囲ではいつも笑顔があった。

地肩の強さ、馬力などフィジカル面をプロのスカウトは高く評価。だがスライダーの切れ味は一級品で、クレバーな一面も見せる。投手らしい投手だ。まだまだ成長まっただ中。プロのマウンドでも気迫満点の姿を見せてくれるだろう。