「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で阪神2位指名を受けた履正社の井上広大外野手(3年)が、大目標を掲げた。今夏の甲子園で3本塁打を放ち、日本一へ導いた右の大砲は将来的に「年間40本塁打」「球界を代表する4番」「本塁打王」を公約に掲げた。阪神の本塁打王は86年に3冠王に立ったバースが最後で、右打者では75年田淵幸一以来出ていない。地元関西の人気球団で、スターへと上り詰める。

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あの甲子園の大歓声を、あの本塁打の感触を、忘れるはずはなかった。阪神から2位指名を受けた瞬間、履正社の校内にはどよめきが起きた。夏の甲子園で主役になった井上は、すぐに笑顔で会見の席につく。高校通算49本塁打。187センチの右の大砲が口にした言葉は、その体と同様に、規格外の大きな目標だった。

「印象に残っているのはマートン選手。夏に甲子園でホームランを打っているので、いいイメージがあります。阪神でも本塁打を打ちたい。ひと振りで試合の流れを変えるスイングをしたいですし(年間)40本は打ちたい。球界を代表する打者になって、日本の4番になりたいと思います」

夏の甲子園決勝では、ヤクルトから1位指名された星稜・奥川からバックスクリーンに逆転3ランを放った。甲子園で“再戦”の可能性も出てきたが、描く夢は、それよりもはるか先にある。阪神では86年3冠王のバース以来、本塁打王が出ていない。右打者では75年田淵幸一までさかのぼる。それを知ると、さらに目を輝かせた。

「自分がそれ(本塁打王)になれるように頑張りたい。小中高と4番を任されてきたので、こだわりがある。プロの世界はどれだけ長く活躍して、試合に出続けられるかが勝負。まずは土台をしっかり作る」

この日、同校にはパートをしながら女手一つで育ててくれた母貴美さん(51)と、小学5年の弟■榮(しゅうえい、10)君も駆けつけた。大阪・大東市の南郷小でソフトボールをしていた頃、暗くなるまで母と2人で公園で練習をした。片隅で見守った母は「夢のようです。本人はプロになりたいと思っていても、その熱い気持ちに答えてあげることができなかった頃もあった」としみじみと語った。井上は「早く1軍で活躍する姿を(母に)見せたい」。甲子園で描いたあの本塁打を、今度はプロの世界で見せる。【益子浩一】

※■は示ヘンに兄