投の秘密兵器は「ライジング礼」!? 侍ジャパンの高橋礼投手(23)が29日、国際大会「プレミア12」に向けた沖縄2次合宿でブルペン入り。打者の手元で浮き上がる「ライジングボール」で一気に株を上げた。

台湾で開催される1次ラウンドではブルペン待機するが、チームが勝ち抜けば、日本開催のスーパーラウンドで先発する可能性も十分ある。ジョーカーとしてカギを握る存在となりそうだ。

隣で他の投手を受けていた甲斐までも、急上昇するボールに思わず目を奪われた。「真っすぐ、すごく来てね?」。球筋を知り尽くす所属球団の女房役も驚きを隠せないほど、高橋礼の直球は浮き上がっていた。

沖縄合宿でのブルペン投球。途中から打者役を左右の打席に立たせ、全31球のうち10球で胸元付近にミットを構えさせた。「外国人打者は体が大きい。インコース高めに強いボールを投げられるように」。明確な意図があった。侍ジャパン合流初日の前日28日、大会使用球の特性に気付いた。「高めが浮きやすい」。国際大会に向け、このメリットを生かさない手はなかった。

大リーグ発の「フライボール革命」が定着したこともあり、近年の外国人打者は特に下から振り上げる傾向が強い。「基本的に“手伸びゾーン”に投げないようにしたい」。意識的にハイボールを投げ続け「(指に)かかった時はかなり上がっていく感覚。ブルペン初日としてはかなり良かった」と充実感を漂わせた。

証言者はまだいる。この日投球を受けた小林も「受けていてもすごく浮く感覚がある。打者からしたら浮き上がっていく感覚があると思う。精度が高い。すごく有効」と大絶賛。稲葉監督は「日米野球の時に高めのストレートで空振り、ファウルをさせていたのをよく見た。外国人打者に対して有効な球だと彼も感じていると思う」と納得顔だ。

18年秋の日米野球では計4回を4奪三振2安打1失点(自責0)。国際球との相性がさらにハマれば、「ライジングサン」ならぬ「ライジング礼」が世界の大空で輝きを放つ可能性は十分ある。【佐井陽介】